「貸し出しの手続きをしてくれたのは、吉野先輩の方でしたよね。ってことは、当番は先輩の方だったってことですよね!」
「それは、まあ……」
「じゃあ、佐渡先輩の方が、先輩に会いに来てたってことですよね!」
「それは……どうだろう」
確かに佐渡は、吉野に会いに来たと言っていた。言っていたけれど、それが本当かどうかはわからない。
結局忘れ物を取りに来たわけでもなく、吉野とお喋りする以外には、本を借りるでも返すでもなかった佐渡だけれど、吉野に会いに来たというあの言葉は、吉野をからかうためだけの嘘だった可能性が高い。
だって佐渡は、そういう人だから。ずっとそうやって、吉野は彼にからかわれてきたから。
「ひょっとして先輩は、近過ぎるがゆえに気が付いてないんじゃないですか?確かに先輩達って、特別仲がいいように見えますよ。むしろ、私みたいにちょっと離れた所から見てる人達には、特別仲がいいようにしか見えないです」
「……別に近くはないし、あの人は誰にでもあの調子で」
「そんなことないですよ!確かに先輩は、他の誰と話をしている時でも、いつも笑顔で優しいです。でも!吉野先輩の時はまた別なんですよ。別って言うか、特別なんです!表情とか声の感じとか、なんかもう色々と、他の人とは違うなって」
「それは、まあ……」
「じゃあ、佐渡先輩の方が、先輩に会いに来てたってことですよね!」
「それは……どうだろう」
確かに佐渡は、吉野に会いに来たと言っていた。言っていたけれど、それが本当かどうかはわからない。
結局忘れ物を取りに来たわけでもなく、吉野とお喋りする以外には、本を借りるでも返すでもなかった佐渡だけれど、吉野に会いに来たというあの言葉は、吉野をからかうためだけの嘘だった可能性が高い。
だって佐渡は、そういう人だから。ずっとそうやって、吉野は彼にからかわれてきたから。
「ひょっとして先輩は、近過ぎるがゆえに気が付いてないんじゃないですか?確かに先輩達って、特別仲がいいように見えますよ。むしろ、私みたいにちょっと離れた所から見てる人達には、特別仲がいいようにしか見えないです」
「……別に近くはないし、あの人は誰にでもあの調子で」
「そんなことないですよ!確かに先輩は、他の誰と話をしている時でも、いつも笑顔で優しいです。でも!吉野先輩の時はまた別なんですよ。別って言うか、特別なんです!表情とか声の感じとか、なんかもう色々と、他の人とは違うなって」



