「でも!先輩と仲良くなりたいっていうか、せめて私のことを知ってもらいたいんです。それで、どうしようかなって思っていたら、佐渡先輩と吉野先輩が仲良さそうにしょっちゅう廊下で話をしているところを見かけて。そしたら、そんな吉野先輩と校内で迷っている時に出くわして!これはもう話しかけてお友達になるしかないと思ったんです。お友達になって、協力していただこうと」


佐渡と仲がいいと知られたことで絡まれるようになったのは、これまでの会話の端々から察してはいたが、こんなにはっきりと吉野に目を付けたわけを聞いたのは初めてだった。

なるほど、将を射んとする者はまず馬を射よ、を実行したということなのだろう。
それにしたって、先輩に目を付けると言うのはどうなのかと思うが、それほど山上は自分の想いを貫く真っすぐさ、使えるものは先輩だって使うしたたかさを持ち合わせているのだろう。