「図書委員だって知ったのは、委員会決めが終わったあとだったので、同じ委員会の後輩ってポジションにもつけなくて……。次の委員会決めって二年生になる時じゃないですか、その時にはもう先輩は卒業しちゃってるし」


山上は残念そうな声で、更に切なそうなため息までつく。


「だから、せめて図書室に通って話しかけるチャンスを探そうと頑張ってみたんですけど、図書室って静か過ぎて話しかけづらいんですよね……」


そもそも図書室は本を読むか自習をする場所であって、仲良くお喋りを楽しむ場所ではないのだが、今はそんなことを言う場面ではないことくらいわかっているので、吉野は黙っておく。

あと、完全に閉めるタイミングを見失ってしまった後方のドアが気にかかるが、下手な動きは山上の話を中断させてしまいそうで、吉野は動くに動けなかった。