「えっとその……高校の見学会の時に初めて先輩に会ったんですけど、私その時校内で道に迷っていまして、トイレから出てきたら一緒の学校から来ていた集団が忽然と姿を消していたんです。それでもう困ってしまって。その時に助けてくれたのが先輩だったんです」
そういえば中学生が学校見学に来た翌日、佐渡は「昨日校内で見学に来てる中学生に会ったんだけど、困り顔でさ迷い歩いている感じが、吉野くんが見学に来た日のことを思い起こさせたんだよね」と言っていた。
もちろん吉野は見学会の時に、校内を困り顔でさ迷ってなどいないので、しっかりと訂正しておいたのだが、その“困り顔でさ迷い歩いていた中学生”というのが、山上のことだったのだろうか。
「それであの、その時からずっと先輩のことが忘れられなくて、絶対ここに入学するって決めたんです。でもいざ入学してみたら、先輩っていつも人に囲まれているから中々話しかけられなくて。一年生と三年生なんて、部活が一緒でもない限りそもそも接点もないですし……」
佐渡が部活動をしていれば山上は迷わず同じ部活に入って接点を作ったのだろうが、残念なことに佐渡は帰宅部だ。
そういえば中学生が学校見学に来た翌日、佐渡は「昨日校内で見学に来てる中学生に会ったんだけど、困り顔でさ迷い歩いている感じが、吉野くんが見学に来た日のことを思い起こさせたんだよね」と言っていた。
もちろん吉野は見学会の時に、校内を困り顔でさ迷ってなどいないので、しっかりと訂正しておいたのだが、その“困り顔でさ迷い歩いていた中学生”というのが、山上のことだったのだろうか。
「それであの、その時からずっと先輩のことが忘れられなくて、絶対ここに入学するって決めたんです。でもいざ入学してみたら、先輩っていつも人に囲まれているから中々話しかけられなくて。一年生と三年生なんて、部活が一緒でもない限りそもそも接点もないですし……」
佐渡が部活動をしていれば山上は迷わず同じ部活に入って接点を作ったのだろうが、残念なことに佐渡は帰宅部だ。



