教室前に着いたところで、吉野はまずドアのガラス窓部分から中に人がいないのを確認して、それからドアを開けた。
先ほど吉野がいた時と変わらず無人の教室は、忘れ物をした人でもいない限りは誰も来なさそうである。
吉野が「どうぞ」と声をかけながら振り返ると、山上は「失礼しまーす」と言いながらそうっと教室に足を踏み入れた。
そして吉野を追い越して三歩ほど進んだところで立ち止まり、「なるほど、これが二年生の教室」と呟く。
その背中を眺めて、自分の教室と違うところなんてそれほどないだろうにと吉野が思っていると、山上がくるっと振り返った。
そして吉野が後方のドアを閉めるのも待たずに喋り出す。
「あの、お時間取らせないよう努力すると約束したので、早速本題に入りますね。先輩はもうお気づきかもしれませんが、私実は佐渡先輩のこと、ずっと前からそ、その……す、好き、と言いますか」
“好き”と口にする瞬間に、それまでの勢いが嘘のようにもじもじし始める山上。
先ほど吉野がいた時と変わらず無人の教室は、忘れ物をした人でもいない限りは誰も来なさそうである。
吉野が「どうぞ」と声をかけながら振り返ると、山上は「失礼しまーす」と言いながらそうっと教室に足を踏み入れた。
そして吉野を追い越して三歩ほど進んだところで立ち止まり、「なるほど、これが二年生の教室」と呟く。
その背中を眺めて、自分の教室と違うところなんてそれほどないだろうにと吉野が思っていると、山上がくるっと振り返った。
そして吉野が後方のドアを閉めるのも待たずに喋り出す。
「あの、お時間取らせないよう努力すると約束したので、早速本題に入りますね。先輩はもうお気づきかもしれませんが、私実は佐渡先輩のこと、ずっと前からそ、その……す、好き、と言いますか」
“好き”と口にする瞬間に、それまでの勢いが嘘のようにもじもじし始める山上。



