そうではないことは言われなくてもわかっているが、そうであってほしいという願望も込めて言ってみる。
もちろん山上は、「図書のことではないです」と清々しいほどきっぱり答えた。
「その……さ、佐渡先輩のことで」
そうだろうなとは思っていたけれど、同時に、そうでなければいいなとも思っていた。
「お時間はそれほど取らせないよう精一杯努力しますので、どうかもう一度私にチャンスをください!」
廊下に響く山上の声に、吉野はぎょっとして周りを見渡す。
自分達を訝しげに見つめる姿は今のところないが、いつ誰が通りかかるかわからない。そんな状況で前回のように熱く喋り出されたら困る。
「チャンスって何のことかわからないけど、もうちょっと声の大きさ抑えてもらえる」
「わかりました!チャンスと言うのはですね、私の熱意を先輩にもう一度お伝えするチャンスという意味です。私の気持ちをわかっていただければ、きっと優しい先輩は私のお願いを聞いてくださると信じています!」
もちろん山上は、「図書のことではないです」と清々しいほどきっぱり答えた。
「その……さ、佐渡先輩のことで」
そうだろうなとは思っていたけれど、同時に、そうでなければいいなとも思っていた。
「お時間はそれほど取らせないよう精一杯努力しますので、どうかもう一度私にチャンスをください!」
廊下に響く山上の声に、吉野はぎょっとして周りを見渡す。
自分達を訝しげに見つめる姿は今のところないが、いつ誰が通りかかるかわからない。そんな状況で前回のように熱く喋り出されたら困る。
「チャンスって何のことかわからないけど、もうちょっと声の大きさ抑えてもらえる」
「わかりました!チャンスと言うのはですね、私の熱意を先輩にもう一度お伝えするチャンスという意味です。私の気持ちをわかっていただければ、きっと優しい先輩は私のお願いを聞いてくださると信じています!」



