「足に落ちてこなかった?大丈夫?」
吉野に問いかけながら、佐渡はしゃがみ込んで落ちた本を拾う。
「……俺は、平気です。……先輩の方こそ足、大丈夫でしたか」
俯いたままぼそぼそ返すと、佐渡が「俺も平気」と言って顔を上げる。
あ……と思った時には遅かった。
佐渡に見られないように俯いていたのに、佐渡がしゃがみ込んだ体勢から顔を上げたせいで、見られてしまった。
その証拠に、佐渡の口元には笑みが広がる。三日月みたいに、弧を描く。
「なんて顔してるの、世那」
なんて顔?自分は一体、今どんな顔をしているのだろう。頬は熱いけれど、表情筋が仕事をしている感覚はない。
でも佐渡がまた名前を呼んだことで、喜ぶみたいに心臓がとくんと高鳴った。
「そういうところが、ほんと可愛いよね」
そう言ってくすっと笑い、佐渡は床の本に視線を戻す。
そして、落ちた本を抱えて立ち上がると
「ちょっとそこ押さえててくれる?」
立ち尽くす吉野に声をかけた。
「あ、はい」
吉野に問いかけながら、佐渡はしゃがみ込んで落ちた本を拾う。
「……俺は、平気です。……先輩の方こそ足、大丈夫でしたか」
俯いたままぼそぼそ返すと、佐渡が「俺も平気」と言って顔を上げる。
あ……と思った時には遅かった。
佐渡に見られないように俯いていたのに、佐渡がしゃがみ込んだ体勢から顔を上げたせいで、見られてしまった。
その証拠に、佐渡の口元には笑みが広がる。三日月みたいに、弧を描く。
「なんて顔してるの、世那」
なんて顔?自分は一体、今どんな顔をしているのだろう。頬は熱いけれど、表情筋が仕事をしている感覚はない。
でも佐渡がまた名前を呼んだことで、喜ぶみたいに心臓がとくんと高鳴った。
「そういうところが、ほんと可愛いよね」
そう言ってくすっと笑い、佐渡は床の本に視線を戻す。
そして、落ちた本を抱えて立ち上がると
「ちょっとそこ押さえててくれる?」
立ち尽くす吉野に声をかけた。
「あ、はい」



