「そういえば川居、今日は海斗(かいと)と一緒じゃないの？」

「いつもセットみたいな言い方やめろ」

「いつもセットじゃん」


そう言って笑う佐渡は、完全におちょくりモードに入っている。そんな気配を川居は察した。


「あいつは、保健委員長の職権を乱用して保健室で昼寝してる。あと十分したら叩き起こしに行く」


カウンターの端に置かれた置時計に、川居はちらっと視線を送る。


「なんだかんだ言いつつ、ちゃんとギリギリまで寝かせてあげるんだから優しいよね。相手が海斗だから、つい甘やかしたくなっちゃう？」

「どういう意味だ」


睨む川居に、「どういう意味って、ねえ？」と佐渡は笑顔を返す。


「お前が何を勘違いしてるのか知らないが、あいつとは付き合いが長いだけで、別に特別仲がいいわけじゃないからな」

「保育園から一緒なんだっけ？」

「ああ」