「世那はね、俺のことが大好きなの。昔からずっとね。でも、それを必死に隠そうとしてるところがすごく可愛いんだ。隠し切れずに漏れ出ちゃってるところもとっても可愛い」


上機嫌に語る佐渡に


「そんなに可愛いなら、おちょくってないでもっと素直に可愛がったらどうだ」


川居が言う。
佐渡は、お前は何を言っているんだ?と言わんばかりの表情で川居を見つめた。


「いつも素直に“可愛い”って伝えてるけど?」

「じゃあお前の言い方か、そもそもの性格の悪さが滲み出てるのが問題だな。おちょくってるようにしか聞こえない」

「ひどいなー、俺はこんなにも素直なのに。まあそもそも、川居にどう聞こえてたって関係ないけどね。俺は世那に言ってるわけだから」


確かにその通りだが、ではその吉野には、佐渡の“可愛い”はどのように聞こえているのか。
突っ込んで聞いてやろうかと思ったが、それもまた自分には関係のないことかと川居は思い留まった。