呆れたように返した後で、面白い話というわけではないが他にすることもないので聞いてみるかと、吉野は再度口を開く。
「先輩は、こういう静かなのって苦手じゃないんですか?」
「んー?」
すーっと佐渡の手がパンに伸びるのが見えて、注意する意味を込めて「先輩」と強めに呼ぶ。
ぴたっと止めた手を、すすーっと元の位置に戻しながら、佐渡は答えた。
「別に、苦手じゃないよ。賑やかなのも楽しいから好きだけど、静かなのも落ち着くから好き」
それは、意外な答えだった。
佐渡と出会ってからの期間は長いが、学年が一つ違うので学校では一緒に行動することもないし、放課後に一緒に遊んだり勉強したりもしていたが、それでも吉野は、佐渡が静かな空間も好むタイプだとは知らなかった。
佐渡に関して、まだまだ知らないことがたくさんあるということなのか、それとも知っているつもりなだけで、知らないことの方が多いということなのか。
知りたいという思いと、知ったってどうするんだ、これ以上想いを募らせてどうするんだという気持ちで、心が揺れる。
「先輩は、こういう静かなのって苦手じゃないんですか?」
「んー?」
すーっと佐渡の手がパンに伸びるのが見えて、注意する意味を込めて「先輩」と強めに呼ぶ。
ぴたっと止めた手を、すすーっと元の位置に戻しながら、佐渡は答えた。
「別に、苦手じゃないよ。賑やかなのも楽しいから好きだけど、静かなのも落ち着くから好き」
それは、意外な答えだった。
佐渡と出会ってからの期間は長いが、学年が一つ違うので学校では一緒に行動することもないし、放課後に一緒に遊んだり勉強したりもしていたが、それでも吉野は、佐渡が静かな空間も好むタイプだとは知らなかった。
佐渡に関して、まだまだ知らないことがたくさんあるということなのか、それとも知っているつもりなだけで、知らないことの方が多いということなのか。
知りたいという思いと、知ったってどうするんだ、これ以上想いを募らせてどうするんだという気持ちで、心が揺れる。



