「とにかく、図書室は飲食禁止なので。先輩は仮にも委員長なんだから、ルールは守ってください」
「吉野くん、そんなに頭がちがちだと世間の荒波は渡って行けないよ?もっと柔軟に生きなきゃ」
「柔軟に生きることとルールを破って生きることは違うと思いますけど」
「結局のところ、バレなきゃいいんだよ」
ダメだこの人は、と吉野は匙を投げる。一応注意はしたのだから、あとはもう知らぬふりをしておこうと吉野は食べかけのパンから視線を外した。
吉野が普段図書室ですることと言えば、読書か自習なのだが、佐渡が隣にいるとどちらも集中出来なくて手につきそうにない。そのため、手持ち無沙汰に室内を眺めるくらいしかすることがなかった。
今日の図書室は、目の届く範囲に人の姿はない。自習スペースにも、棚の間にも。
もとよりそれほど人気のある場所ではないから利用者の数は少ないが、佐渡がいるのに人がいないというのは、吉野にしてみればなんだか不思議な感覚だった。
「ねえ吉野くん、何か喋ってよ。面白い話とかないの?」
「……あるわけないでしょ。俺にそういうのを求めないでください」
「吉野くん、そんなに頭がちがちだと世間の荒波は渡って行けないよ?もっと柔軟に生きなきゃ」
「柔軟に生きることとルールを破って生きることは違うと思いますけど」
「結局のところ、バレなきゃいいんだよ」
ダメだこの人は、と吉野は匙を投げる。一応注意はしたのだから、あとはもう知らぬふりをしておこうと吉野は食べかけのパンから視線を外した。
吉野が普段図書室ですることと言えば、読書か自習なのだが、佐渡が隣にいるとどちらも集中出来なくて手につきそうにない。そのため、手持ち無沙汰に室内を眺めるくらいしかすることがなかった。
今日の図書室は、目の届く範囲に人の姿はない。自習スペースにも、棚の間にも。
もとよりそれほど人気のある場所ではないから利用者の数は少ないが、佐渡がいるのに人がいないというのは、吉野にしてみればなんだか不思議な感覚だった。
「ねえ吉野くん、何か喋ってよ。面白い話とかないの?」
「……あるわけないでしょ。俺にそういうのを求めないでください」



