「……どう考えたってあの人達は俺の友達じゃないでしょ。むしろ、友達に見えたんですか?」
「いや、全然。告白の場面か、もしくは吉野くんが女子をいびり倒している場面かどっちかに見えた」
「……いびり倒す」
その二つはだいぶ雰囲気が違うので迷いようがないと思うのだが、佐渡に背を向けるようにして立っていた吉野の表情が見えなかったから、二つの選択肢で迷ったのだろうか。
それにしたって、いびり倒すはない。顔が笑っているから、わざと言っているのだろうとわかるからまだいいけれど。
「そういえばさ、あの真ん中にいた子、中でも特に気迫が凄かった子、昼休みに本を借りに来てた子だよね」
「そうですね」
そしてその真ん中にいた子はあなたのことが好きで、気迫の凄さはその気持ちの表れですと、吉野は心の中で付け足しておく。
「吉野くんは、あの子と仲がいいの?」
「いえ、別に」
全身に悪寒が走るようなことを言わないでほしい。
“一度お話した人は友達”という謎の思考回路を持っているらしい彼女の中では、吉野は既にお友達ということにされているのだろうが、吉野にしてみれば彼女はただの顔を知っている程度の後輩だ。名前も未だに覚えていないし。
「いや、全然。告白の場面か、もしくは吉野くんが女子をいびり倒している場面かどっちかに見えた」
「……いびり倒す」
その二つはだいぶ雰囲気が違うので迷いようがないと思うのだが、佐渡に背を向けるようにして立っていた吉野の表情が見えなかったから、二つの選択肢で迷ったのだろうか。
それにしたって、いびり倒すはない。顔が笑っているから、わざと言っているのだろうとわかるからまだいいけれど。
「そういえばさ、あの真ん中にいた子、中でも特に気迫が凄かった子、昼休みに本を借りに来てた子だよね」
「そうですね」
そしてその真ん中にいた子はあなたのことが好きで、気迫の凄さはその気持ちの表れですと、吉野は心の中で付け足しておく。
「吉野くんは、あの子と仲がいいの?」
「いえ、別に」
全身に悪寒が走るようなことを言わないでほしい。
“一度お話した人は友達”という謎の思考回路を持っているらしい彼女の中では、吉野は既にお友達ということにされているのだろうが、吉野にしてみれば彼女はただの顔を知っている程度の後輩だ。名前も未だに覚えていないし。



