「そういうわけだから、一緒に帰ろう吉野くん。あ、昔みたいに手繋いであげよっか」
「捏造しないでください。手なんか繋いで帰ったことありません」
佐渡と手を繋ぐことを一瞬想像してしまって胸が高鳴ったことを隠すため、吉野は語気を強めに言い返す。佐渡は、ふふっと可笑しそうに笑った。
「ほんと可愛いよね、吉野くんは」
靴を履き替えるために一旦別れ、生徒玄関の前で合流する。たったそれだけの間にも、「佐渡くんまたねー」「お、優真帰るのか?じゃあな」と佐渡にかけられる複数の声が聞こえてくる。
対する吉野はといえば、靴を履き替えている最中にクラスメイトが数人靴箱へとやって来たが、誰一人として吉野に声をかけることはなく、無言で通り過ぎていった。
佐渡と中学が一緒、吉野のように小学校から一緒の後輩は他にもいる。
確かに吉野には、他の人にはない昔よく一緒に遊んだという少しだけ抜きんでた部分があるけれど、それでも全くタイプの違う吉野がここまで佐渡に構ってもらえるのは、きっととても幸せなことなのだ。
「捏造しないでください。手なんか繋いで帰ったことありません」
佐渡と手を繋ぐことを一瞬想像してしまって胸が高鳴ったことを隠すため、吉野は語気を強めに言い返す。佐渡は、ふふっと可笑しそうに笑った。
「ほんと可愛いよね、吉野くんは」
靴を履き替えるために一旦別れ、生徒玄関の前で合流する。たったそれだけの間にも、「佐渡くんまたねー」「お、優真帰るのか?じゃあな」と佐渡にかけられる複数の声が聞こえてくる。
対する吉野はといえば、靴を履き替えている最中にクラスメイトが数人靴箱へとやって来たが、誰一人として吉野に声をかけることはなく、無言で通り過ぎていった。
佐渡と中学が一緒、吉野のように小学校から一緒の後輩は他にもいる。
確かに吉野には、他の人にはない昔よく一緒に遊んだという少しだけ抜きんでた部分があるけれど、それでも全くタイプの違う吉野がここまで佐渡に構ってもらえるのは、きっととても幸せなことなのだ。



