君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

女子同士だと、たまに盛り上がった流れで抱き合っているところを見ることはあるが、男同士でそれをしているのは見たことがない。体育祭などでテンションが上がっている時だって、男同士はせいぜいハイタッチくらいだ。

それに、吉野と佐渡は――


「そもそも俺達は、友達じゃないでしょ」


小学生の頃から知っている仲ではある。よく一緒に遊んだりもした。佐渡が一緒に遊んでくれたと言った方が正しいが、それでも友達ではない。

中学生になる頃には、学校の図書室やファミレス、たまにどちらかの家で一緒に勉強をしたりもした。でも、友達ではないのだ。


「なるほど、確かに俺達は友達ではないかもね」


友達の定義について語り合いたくはなかったから、佐渡が素直に納得してくれたのは助かった。助かったけれど、吉野を抱きしめる佐渡の腕は離れない。
背中に感じる佐渡の体温に、時折押し付けられる顔に、息を吸い込む音に、鼓動が早まるのも止められない。