君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「久しぶりに世那吸いしてもいい?」

「いいわけないでしょ。ここ学校ですよ」


何を言っているんだとぎょっとする。そんな吉野の返答に、佐渡はくすりと笑った。


「なるほどね、じゃあ学校じゃなければいいんだ」

「そんなこと言ってません」

「そう?じゃあ今ここでしてもいい?」

「何でそうなる――」


佐渡に言い返す途中で、吉野は気が付く。どうしたものかと迷うような距離を空けて、カウンターの方を窺う生徒の姿があることに。
その生徒を見て、思わず眉間に皺が寄りそうになったが、何とか堪えて吉野は立ち上がりながらカウンターを指し示した。


「すみません、どうぞ」


吉野が立ち上がった拍子に、吉野の背中に頭を預けていた佐渡が「おわっ」と声を上げてバランスを崩す。
その声を無視して、吉野はカウンターの方を見ている女子生徒に声をかけた。