君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「ねえ吉野くん、そっち行っていい?」

「……何でですか」

「もっと吉野くんの近くに行きたいから」

「当番の委員以外はカウンター内立ち入り禁止です」

「そんなルールはありません」


吉野の抵抗も空しく、佐渡はカウンター内に入ってくる。
昼休みは貸出業務のみなので一人体勢だが、放課後は図書の整理もあり二人体制になるので、カウンター内は二人くらいなら余裕で入れる。少し狭くはなるが三人でもいける。

佐渡は吉野の隣ではなく背後に椅子を置いて、なぜだか背中合わせになるような向きで座った。


「……何でそっち向きなんですか」

「向こう向いて座ってたら、俺も今日の当番の人みたいでしょ」


カウンター内にいる時点で、利用者にしてみれば当番の人みたいなのだが、面倒くさいのでそこは突っ込まないでおく。