君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「可愛い可愛い、俺の世那」


嬉しそうな笑顔で、楽しそうにそう言って


「早く俺のことも、世那のものにしてほしいな」


続いた言葉に、吉野は遊ばれてたまるものかという強い心で反撃を試みる。


「“先輩のことも”って、その言い方だとまるで、俺の方はもう先輩のものみた――……」


言いかけた言葉が、途中で止まる。突然黙った吉野を、佐渡が可笑しそうに見つめる。
その時吉野の脳内に蘇っていたのは、佐渡の言葉。

――可愛い可愛い、“俺の”世那

佐渡は確かにそう言った。
それだとまるで、“みたい”ではなく、本当に既に佐渡の――――。


「どうしたの?吉野くん。顔が耳まで真っ赤だよ」


先ほどまでの、遊ばれてなるものかという強い気持ちは、一瞬にして消し飛んだ。
その代わりに吉野の中では、え……だって、そんなこと……え……?と混乱の嵐が吹き荒れている。

口を中途半端に開けたまま立ち尽くし、目を白黒させ、混乱しているのが珍しく思いっきり表情に出ている吉野を、佐渡が愛おしそうに見つめる。

その口元には、とろけるような、とても幸せそうな笑みが浮かんでいた。