君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

黙り込む吉野を、佐渡は笑顔で見つめる。「言えない?」なんて聞かれて、吉野は唇を噛んだ。

吉野の気持ちに気が付いていてそんなことを言っているのだとしたら、それはもう吉野のことを反応が面白いおもちゃとしか思っていない証拠ではないか。

それでも嫌いになんてなれないから、苦しくて苦しくてどうしようもない。
どうしようもなく、佐渡のことが好きで堪らない。

噛みしめた吉野の唇に、佐渡は指でそっとなぞるように触れて、「そんなに噛むと血が出るよ」なんて心配そうに言う。
誰のせいで……!と恨めしく思いながら、唇に触れる指にドキドキする。触れられることが嬉しいなんて思う。そんな感情に、また苦しくなる。

そんな風に優しく触れないでほしい。大切なものを扱うみたいに名前を呼ばないでほしい。愛おしさがこもっているような、そんな風に錯覚してしまうような笑顔を向けないでほしい。……期待、させないでほしい。

吉野の唇から指を離し、佐渡がふふっと小さく笑う。優しく目を細めて、心底嬉しそうに、幸せそうに笑う。