君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「……確かに、言い方はちょっとよくなかったかもしれないですけど、別に突き放すつもりはなかったですし、そもそも“お前には関係ない”なんて言ってないです」

「あの冷たい言い方は、もうほとんど言ったようなものだよ。それに、どっちにしたって俺は傷ついたんだから」


本当に、傷ついているのだろうか。とてもそんな風には見えないけれど。演技のようにしか見えないけれど。
でもそれを指摘すれば今度は、“吉野くんが俺を嘘つき呼ばわりする”などと言ってことさら悲しんで見せるのだろう。


「……わかりました。謝ればいいんですよね」


下校時刻が来る前に、返却されてきた本を全て棚へ戻さなければならない。佐渡が足元に置いたカゴには、まだまだ本が入っている。
ここで佐渡と終わらない言い合いをしている場合ではないことを思い出して、更には、これ以上佐渡との距離が近いと心臓がもたないこともあって、吉野はむちゃくちゃな要求にも応じて謝っておくことにした。

どうせ反抗し続けたって、最後には吉野が折れることになるのだ。いつも、そうだから。