君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「……傷ついている人は、そんなに圧たっぷりに迫ってこないと思います」


両側はがら空きだから、逃げようと思えば逃げられる。でも目の前の佐渡の圧が強過ぎて、脇をすり抜けて逃げることが出来ない。
しばしわざとらしいほど悲しげな顔で吉野を見ていた佐渡だったが、やがてフッと笑みを零した。


「吉野くんは恥ずかしがり屋なうえに強がりで、でも泣き虫で、素直じゃなくて、いつも一人ぼっちで、いざという時頼れるのは俺だけで、頼りたいのも俺だけで――そういうの全部、堪らなく可愛い」


すっと伸びて来た佐渡の手が、頭を撫でながら下がって来て、そっと耳に触れて、指先で頬を撫でて、顎のラインをなぞるようにして離れていく。
くすぐったさに吉野が身をよじると、佐渡は可笑しそうに笑った。


「なっ、にするんですか……」

「こうすると、吉野くんはもっと可愛い顔を見せてくれるから」


くすぐったいのと、恥ずかしいのと、佐渡に触れられているという事実に心臓が高鳴るのとで、吉野は落ち着かない気持ちになる。