君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

山上の気持ちが佐渡にバレぬよう、自分の気持ちもバレぬよう、回避して回避して辿り着いた言葉は、何だか突き放しているようになってしまった。“あなたには関係ないでしょ”と言っているような。
佐渡にもそんな風に伝わってしまったのか、ピリッとした緊張感が走った気がした。


「あるでしょ、そりゃあ」


佐渡は持っていたカゴを床に置いて、手ぶらで吉野との距離を詰める。一気に距離が近付いて、吉野は思わず息を呑んだ。
咄嗟に下がった背中が、とんっと棚にぶつかる。


「吉野くんは思ってもないことを言っちゃう恥ずかしがり屋さんだから、今のも本当に言いたかったことじゃないってちゃんとわかってるよ。わかってるけど、そんな風に言われたら傷つくでしょ?」


こてっと首を傾げた佐渡は、怒っているのかと思ったけれど、その顔はどちらかというと悲しんでいるようだった。
目元がしゅんと下がっていて、寂しげな空気を背負っていて、なんだかとってもわざとらしい。