君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「顔と名前を知っているからってだけが理由じゃないんじゃない?向こうは吉野くんのことを、好ましく思っているのかも。もしかしたら吉野くんの方も、まんざらでもないのかも」


それは絶対にない。断言出来る。

なにせ山上が好ましく思っているのは佐渡の方だ。そして吉野はといえば、まんざらでもないどころか、廊下や生徒玄関で捕まる度にハイテンションで佐渡の話を聞かされるので、正直辟易していた。
でもそれを伝えるには、山上が佐渡へ好意を抱いていることを伝えるのと同義になってしまうし、一つ間違えれば吉野の好意も伝わってしまうかもしれない。
吉野の好意に関してはもう伝わっている可能性大なのだが、佐渡が何も言ってこない以上、吉野への態度にも変わりがない以上、これまで通りひっそりと想い続けるつもりでいるので、改めて伝わってしまうような危険は冒したくない。

今度こそ、拒絶されたら怖いから。


「つまり、先輩は何が言いたいんですか?仮に山上さんと俺の仲が良かったとして、何か不都合がありますか?」