君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「行くぞ、次俺達だそうだ」


川居に続いてコートに向かうと、後ろから「いってらっしゃーい。優真ー、その小姑をぶちのめせー」と海斗の声。それに川居が「同じチームなんだよバカが!」と言い返す。


「ちょっともう、仲がいいのはわかったから、俺挟んでいちゃつくのやめてよね」

「いちゃついてねえわ!だったらお前は、吉野のことを思い出して気色悪くにまにまするのをやめろ」

「思い出し可愛いなんだからしょうがないよね」

「なんだよ“思い出し可愛い”って」


交代したチーム全員がコート内に揃ったところで、教師がホイッスルを吹く。サボっているとバレないよう、佐渡はほどほどに力を抜いてボールを追いかける。
その間も頭の中にあるのは、バスケットボールの試合ではなく、この後に控えている現代国語の授業のことでもなく、吉野のこと。

自分が昼間の吉野のことを思い出して思わず頬を緩めてしまうように、吉野も昼間の佐渡とのやり取りを思い出して落ち着かない時間を過ごしていればいいなと思いながら。




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