君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「あとね、更に可愛い表情を見るための最後の一押しが、“世那もおいで。待ってるからね”」


そう言って佐渡は、上機嫌に笑ってみせる。しかしすぐに真剣な顔になって


「間違っても、俺の真似して世那の可愛い反応見に行かないでね。川居は、海斗の可愛い顔だけ見てればいいから」

「……見に行かないし、カイの顔も別に見たくはない」


わざわざ釘を刺されずともそんなつもりはないが、佐渡にここまで執着されている吉野が、一体どんな気持ちで一緒にいるのかは正直興味がある。
でも、それを知るために佐渡に内緒で吉野に近づいたら後が怖いので、決してやらないけれど。


「そういえば海斗、今日は午前中調子悪そうだったけど、今は元気そうだね。スリーポイント決めてるし」

「あいつ、昔から低気圧で調子悪くなるんだよ。午前中曇ってただろ、ああいう天気の時は頭痛が酷いらしい」

「さすが川居」


またにやにやし始めた佐渡に、川居は己の不用意な発言を後悔する。


「お前ほんと、いい加減にしろよ」

「何が?」


にやにや笑いを収めることもなく、佐渡が首を傾げる。