君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

昼休みになるなり爆速でお昼を食べ、食べ終えたかと思ったら教室から出て行った佐渡は、その後予鈴が鳴るまで戻ってこなかった。
おかげで幼馴染みの海斗と二人だけで昼食をとることになった川居は、「何でお前と二人なんだよ!」という海斗の言葉を皮切りに、いつも通り言い合いをしながら昼食をとるハメになった。


「今日は世那がお昼の図書当番の日だったからね。そうそう、図書室に入って来た俺を見た瞬間の世那の驚き顔も可愛かった」


吉野のことを語る時、佐渡の顔がとろけきっていること、“世那”と呼ぶ時の声が愛おしそうであること、本人は気が付いているのだろうか。自覚があるのだろうか。
傍から見ていればそれはもう“好き”以外の何ものでもないのだが、以前川居はそれを指摘して佐渡にかわされているので、今回は自分が思うだけに留めておいた。