========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
夏目優香・・・夏目リサーチ社長。
===============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置が出勤すると、夏目と久保田管理官が待っていた。
「今日は報告だけだ。あそこにいた不審な職員、『CIA』から指名手配されていた、通称ジャッキー・ホフマン。ガチャガチャデータが弾き出したネットカフェの写真に映り込んでいた写真。どこかで見た気がして、警察のデータベースで見付けた。彼は、濱口警部補だった。柊隊員の幼なじみだった。大文字君に報せたが、遅かった。闘いは終り、パラ・リヴァイアサンは亡くなった。パラ・リヴァイアサンこそ濱口警部補だった。彼が行方不明になった頃、パラ・リヴァイアサンが登場していた。死ぬ間際に大文字君に、がんだったことを告白した。池上病院の蛭田教授は、『がんを完全に無くして治癒する薬は無いが、副作用として促進する薬、毒はある』そうだ。」と久保田管理官は、肩を落して言った。
「柊隊員のショックは計り知れない。大文字君の提案で、暫く休暇を取らせて、戦線離脱することを私からも理事官に提案、承諾された。」と、夏目警視正が続けた。
「何か事情があったんですか?思想犯じゃないんでしょ、。濱口さんは。」と笠置が尋ねた。
「中津興信所で調べたところ、身内で『がん治療薬』をインターネットで取り寄せた者がいた。濱口君の、年の離れた弟だ。ところが・・・。」
「高額で、しかも『がん推進剤』だった。濱口君は、会社を訴えようとした。ところが、弟も犠牲者になり、組織に取り込まれてしまった、ですか。」という高山に、「濱口君は弟を犠牲にしたく無かった。弟は未成年だ。」と、夏目は悔し涙を流した。
厨房で聞いてたのか、榊が調理器具を落す音が響いた。
「葬儀は、伯母夫婦が行うそうだ。弟の方は、葬儀が終り次第、池上病院で集中治療を行う。」
30分後。榊は高山と笠置に手伝わせて、所謂『精進落とし』の料理を出した。
そして、日本酒で静かに『献杯』を行った。
葬儀に参列出来ないので、せめてもの『弔い』であった。
「嫌らしい敵だったが、全てカモフラージュだったか。」と、夏目が言い、「凝った、挑戦状でしたね。英文なんか添えて。」と笠置が言い、「あれから濱口警部補には到達出来ないでしょう。」と高山が言った。
アルコールが入っていることもあって、久保田管理官も夏目警視正も泊まって帰った。
翌朝。2人が表に出ると、朱美の運転する自動車と久保田誠警部補の運転する自動車が迎えに来ていた。
笠置・高山・榊は、いつものように、徒歩で駅に向かった。
朝日の陰が3人の足元から延びていた。
―完―


