＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ この物語はあくまでもフィクションです ＝＝＝＝＝＝＝＝＝
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当？
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。普段は妻の優香や妹の朱美に管理を任せている。芦屋グループ傘下に入り、登記上は、違う会社名になっている。
村越一郎・・・警視庁テロ対策室室長。警視正。副総監の次席に当たり、直属の部下は新里警視、EITO出向の筒井警部、中津興信所連絡係の中津警部、遊軍の矢野警部を部下にしている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置達が出勤すると、またしても驚いた。
夏目の隣に座っているのは、村越警視正だ。
「みんなも知っての通り、阿倍野元総理殺害のチームリーダーが逮捕された。黙秘を続けてはいるがね。現場にいた時も、『単なる主婦』としか思えなかった。それだけ、あの被疑者に誰もが目を向けたからだ。今回は、中津興信所も闇サイトハンターも協力してくれたお陰もあったけどね。勿論、皆のお陰で事件は未然に防げた。今夜の『割り込み』調査はない。『ご褒美』とはいかないけどね。副総監も行きたい、とおっしゃったが、万一のことを考えて、テロ対策室だけで乾杯したよ。手ぶらも何だから、村越さんが料理酒を用意してくれた。榊さん、使ってくれ。」
「お預かりします。みりんの代わりに使います。今夜は、久しぶりにポークジンジャー、詰まり、豚の生姜焼きです。」
そう言って、榊は準備をしに行った。
「夏目さん、本当に今日は『調査』ないんですか？」
「ないはずだったんだがね。新里から、ついさっき連絡が入った。例のオンナのヤサからSDが見つかったんだが、物理的に壊した筈のSD、どうやら一部復元出来るようだ。そのデータから、調査が必要なデータが出れば、ここに転送される。」
「なるほど。アナログ人間がよくやりそうな失敗かな？どこかの議員さんが、HDDにドリルで穴開けたみたいな。」と。笠置は笑った。
電子データを壊す方法はいくつかある。
物理的に壊す為には「手順」がある。知らない者が闇雲なことをしても、逆に「手掛かり」を残すことになる。
システムは、放っておいても、ルーチンワーク的なマッチングはしている。
今、弾き出されているのは近年増えた『不法入国者』だ。
マッチングでリストアップは出来ても、この部署では『犯罪予備軍』は割り出せない。それには、別の角度のデータが必要だ。
高山が、遅れてやって来た。
笠置は経緯を説明、晩餐会が始まった。
「誰が発明した料理か知らないが、実は、私は、これが大好物なんだ。」と、村越は今日初めて口をきいた。
恐らく空腹だったのだろう、と笠置は思った。
その日のリストアップデータが役に立つのは、後日のことだった。
―完―
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当？
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。普段は妻の優香や妹の朱美に管理を任せている。芦屋グループ傘下に入り、登記上は、違う会社名になっている。
村越一郎・・・警視庁テロ対策室室長。警視正。副総監の次席に当たり、直属の部下は新里警視、EITO出向の筒井警部、中津興信所連絡係の中津警部、遊軍の矢野警部を部下にしている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置達が出勤すると、またしても驚いた。
夏目の隣に座っているのは、村越警視正だ。
「みんなも知っての通り、阿倍野元総理殺害のチームリーダーが逮捕された。黙秘を続けてはいるがね。現場にいた時も、『単なる主婦』としか思えなかった。それだけ、あの被疑者に誰もが目を向けたからだ。今回は、中津興信所も闇サイトハンターも協力してくれたお陰もあったけどね。勿論、皆のお陰で事件は未然に防げた。今夜の『割り込み』調査はない。『ご褒美』とはいかないけどね。副総監も行きたい、とおっしゃったが、万一のことを考えて、テロ対策室だけで乾杯したよ。手ぶらも何だから、村越さんが料理酒を用意してくれた。榊さん、使ってくれ。」
「お預かりします。みりんの代わりに使います。今夜は、久しぶりにポークジンジャー、詰まり、豚の生姜焼きです。」
そう言って、榊は準備をしに行った。
「夏目さん、本当に今日は『調査』ないんですか？」
「ないはずだったんだがね。新里から、ついさっき連絡が入った。例のオンナのヤサからSDが見つかったんだが、物理的に壊した筈のSD、どうやら一部復元出来るようだ。そのデータから、調査が必要なデータが出れば、ここに転送される。」
「なるほど。アナログ人間がよくやりそうな失敗かな？どこかの議員さんが、HDDにドリルで穴開けたみたいな。」と。笠置は笑った。
電子データを壊す方法はいくつかある。
物理的に壊す為には「手順」がある。知らない者が闇雲なことをしても、逆に「手掛かり」を残すことになる。
システムは、放っておいても、ルーチンワーク的なマッチングはしている。
今、弾き出されているのは近年増えた『不法入国者』だ。
マッチングでリストアップは出来ても、この部署では『犯罪予備軍』は割り出せない。それには、別の角度のデータが必要だ。
高山が、遅れてやって来た。
笠置は経緯を説明、晩餐会が始まった。
「誰が発明した料理か知らないが、実は、私は、これが大好物なんだ。」と、村越は今日初めて口をきいた。
恐らく空腹だったのだろう、と笠置は思った。
その日のリストアップデータが役に立つのは、後日のことだった。
―完―
