========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 =========================
 笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
 高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
 榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
 夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。普段は妻の優香や妹の朱美に管理を任せている。芦屋グループ傘下に入り、登記上は、違う会社名になっている。
 村越一郎・・・警視庁テロ対策室室長。警視正。副総監の次席に当たり、直属の部下は新里警視、EITO出向の筒井警部、中津興信所連絡係の中津警部、遊軍の矢野警部を部下にしている。
 久保田嘉三・・・警視庁管理官。芝田管理官が以外に交渉人が必要な場合は、ネゴシエーターとして出動するが、普段は、EITOと警視庁の橋渡し役をしている。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
 夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。

 ※このエピソードは、「闇サイトハンター18」と「こちら中津興信所69」と連動しています。

 【闇サイトハンター18のあらすじ】
 山並は、ある日、『汝の隣人を殺めたまえ。』という名前の闇サイトを発見した。
 その後、このサイトを利用しようとしているSNSのやり取りは発見した山並は、実際の事件発生後、警視庁に向けて、闇サイトのことと
 事件の背景に繋がるSNSのやり取りを匿名メールで告発した。

 【こちら中津興信所69のあらすじ】
 親族と『生前贈与』で揉めていた倉敷家と大和家。その隣人である上条英一、仙吉兄弟は、闇サイトの誘導に乗り、隣人を殺害、現金を奪った。
 だが、想定外の展開により、殺人お呼び殺人未遂が判明、自供した。


 午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
 笠置が出勤すると、夏目と久保田管理官、そして、村越警視正が既にいた。
 「笠置さん、驚いた?」「驚きますよ。まさか、榊さんの料理の為だけにいらした訳ではないですよね。」
 笠置は、夏目に、わざと剽軽に応えた。
 「倉敷家・大和家の隣人が被疑者だった訳だが、両家の『生前贈与』の相談を受けていたのが、オロンガ総合法律事務所だ。そして、担当者が武輪剛造弁護士だ。彼は、今朝、勝鬨橋に括り付けられているのを地元の人に発見された。無論、死体でだ。」
 「村越警視正。それって、いつかも・・・。」
 「そうですよ、笠置さん。ダークレインボウの『処刑』のやり方だ。死亡推定時刻は、上条兄弟のニュースが流れた頃だ。」
 「で、これが武輪弁護士の写真。」と言って、笠置の後ろに立っている高山・榊にも見せた上で、システムにスキャンさせた。
 そして、夏目は久保田管理官から受け取ったDVDをシステムに読み込ませた。
 「このDVDには、勝鬨橋の遺体のデータが入っている。頭の破片は、ダイバーに集めさせた一部だ。」
 「何て酷いことを。」そう言って、榊は厨房に引っ込んだ。
 「変わった名前の法律事務所ですね。」と、高山が誰にともなく言った。
 「本条弁護士によると、社長がゲーム好きで名付けたらしい。参考までに。」と、夏目は言った。
 「衣類だけじゃ武輪弁護士と認定出来なかったんですね。それで3Dマッチングか。」と笠置が言うと、「問題は、武輪がそれだけ本件と関わっているか、だ。武輪が処刑されたことで、ダークレインボウの関係者、いや『枝』以上だと分かるが、何故闇サイトを作ったかだ。弁護士の収入も悪くないし、ダークレインボウからも給料は出ていたろうに。借金の形跡もなかった。ただ、仮想通貨の類いは分からない。」
 「夏目さん。マッチングは並行処理出来るんだよね。以前のCIAのデータともマッチング出来るかな?」
 「出来ますよ。笠置さん。」
 「了解しました。」
 笠置は、テキパキとセッティングをした。
 榊は、テーブルを多めに用意した。
 「今夜は単純に神戸牛でローストビーフ。たんと召し上がれ。」
 1時間半後。皆が食事中、2つのアラームが同時に鳴った。
 「やはり、殺されていたのは、武輪弁護士。そして、CIAのお尋ね者。どうやって入れ替わったのか、足首にはアンクルモニターの跡があった。」久保田管理官が発言した。
 「アンクルモニター。犯罪者が着けるアンクレットですよね?」と、夏目が驚いた。
 「武輪が処刑された、ってことは、パラ・リヴァイアサンの怒りを買う行動だった。もう一度、仮想通貨を調べる必要があるな。明日、草薙にやらせよう。」と夏目が言い、「私はCIAに報告の上、詳しいデータを送って貰うことにする。笠置さん、お手数だが、纏めて警視庁に報告書を出してくれ。」と村越が言った。
 夏目、村越、久保田は帰って行った。
 「この頃、ややこしい事件が多いね。」と、高山が榊を手伝おうとするのを見て榊が制して、「じゃ、コーヒーの方を頼みます。ドリップ買ったんですよ。」と、榊はオーダーした。
 「了解。」
 笠置が作業を終えると、いい香りがしてきた。
 夜はまだ長い。
 ―完―