========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置は、声を出して指令書を読んだ。
「日比谷公園の男と交際フォーラムの男か。両者が同一人物かどうかと何物か、ということか。」
「笠置さん。気を遣ってくれなくても、後で読みますよー。」と、厨房から榊が言った。
「そういう積もりじゃなかったんだけどな。」
そう言いながら、笠置は送られて来たデータをシステムにセットした。
15分後。アラームが鳴って、笠置は拍子抜けした。
「南原さんが映した、一佐と接触した男と、日比谷公会堂にいた人物、即ち稲森隊員達が捕まえた人物で、警視庁で拘留中の人物は同一人物だ。」
横から覗いた高山が、素っ頓狂な声を上げた。「名前が『ひむらまつこ』と言うのか?え?『まつこ?』」
「お名前カードデータと運転免許証データも『ひむらまつこ』?でも、住基データは、アンマッチ。『ひむらまつじ』。」
「多分、改名したんだな。警視庁でも話題になっててね。今、古い運転免許証データを調べて貰っている。」
朱美の後ろから夏目が入って来て言った。
「どういうこと?兄さん。」「うむ。年齢が71歳になっているだろう?この男が運転免許証を取得したのは、50年前。半世紀前だ。その頃は、まだパソコンの時代じゃなかった。大型コンピュータの時代。そして、免許証を発行する際に印字されたデータは住民票のそれと違うケースが多々あった。例えば、『久保田嘉三』は、『クホタ キソウ』だった。久保田さんも笑ってたよ。職質なんかで引っかかった人は大勢いた。」
「詰まり、参照データベースには『濁音』が曖昧だった。読み間違いもあった。」ということですか、夏目さん。」と、笠置は尋ねた。
「そういうこと。多分、彼が最初に手にした運転免許証には『ひむらまつし』と書かれていた筈だ。」
その時、警視庁からのデータが届いた。古い運転免許証の名前は『ひむらまつし』だった。
「でも・・・なんでお名前カードデータと運転免許証データも『ひむらまつこ』?」と、朱美はクビを傾げた。
「新しい運転免許証が発行される際にも、お名前カードデータが発行された際にも『不具合』は改訂されている。どこかの時点で、彼は改名した。『おんな』として生きる為に。そして、2つの名前を使い分けるようになった。ダークレインボウの構成員として都合が良かった。だが、パラ・リヴァイアサンは彼も『亡き者』にしようとした。三輪バイクは1人乗りも2人乗りも爆発物が仕掛けられていた。詰まり、生け贄は若者達だけでは無かった。」
夏目の説明に、「名前の違いだけなら、警視庁だけでも解決出来たのでは?」と、笠置が言った。
「その通り。笠置さん。CIAのデータをマッチング対象に加えてくれ。先日のデータでいい。」
笠置が、その通り実行すると、10分後に答は出た。
彼の、彼女の素性は、アメリカ国籍の『コム・平松』だった。彼女は性転換手術を受けた、『男性』CIA調査員だった。詰まり、『ひむらまつし』と入れ替わったのだ。
「じゃ、どこかで『枝』として潜入した『ひむら』をパラ・リヴァイアサンが見抜いていたんですね。今夜は、『豚肉の甘味噌焼き』。名前の通りの料理ですよ、皆さん。」
そう言って、榊が料理の出来たことを告げに来た。
朱美は、すぐに手伝いに厨房に入った。
「国際フォーラムの主催者側の案内役にしてはおかしい、と一佐が言うので、中津興信所やDDメンバーに手伝って監視しようとしたら、雲隠れしていた。取り調べの時の様子も何かおかしい、と新里が言っていた。明日、改めて自称『ひむら』に確認するよ。」
警視庁にメールを送った夏目は言った。
深夜の晩餐が始まった。
―完―
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置は、声を出して指令書を読んだ。
「日比谷公園の男と交際フォーラムの男か。両者が同一人物かどうかと何物か、ということか。」
「笠置さん。気を遣ってくれなくても、後で読みますよー。」と、厨房から榊が言った。
「そういう積もりじゃなかったんだけどな。」
そう言いながら、笠置は送られて来たデータをシステムにセットした。
15分後。アラームが鳴って、笠置は拍子抜けした。
「南原さんが映した、一佐と接触した男と、日比谷公会堂にいた人物、即ち稲森隊員達が捕まえた人物で、警視庁で拘留中の人物は同一人物だ。」
横から覗いた高山が、素っ頓狂な声を上げた。「名前が『ひむらまつこ』と言うのか?え?『まつこ?』」
「お名前カードデータと運転免許証データも『ひむらまつこ』?でも、住基データは、アンマッチ。『ひむらまつじ』。」
「多分、改名したんだな。警視庁でも話題になっててね。今、古い運転免許証データを調べて貰っている。」
朱美の後ろから夏目が入って来て言った。
「どういうこと?兄さん。」「うむ。年齢が71歳になっているだろう?この男が運転免許証を取得したのは、50年前。半世紀前だ。その頃は、まだパソコンの時代じゃなかった。大型コンピュータの時代。そして、免許証を発行する際に印字されたデータは住民票のそれと違うケースが多々あった。例えば、『久保田嘉三』は、『クホタ キソウ』だった。久保田さんも笑ってたよ。職質なんかで引っかかった人は大勢いた。」
「詰まり、参照データベースには『濁音』が曖昧だった。読み間違いもあった。」ということですか、夏目さん。」と、笠置は尋ねた。
「そういうこと。多分、彼が最初に手にした運転免許証には『ひむらまつし』と書かれていた筈だ。」
その時、警視庁からのデータが届いた。古い運転免許証の名前は『ひむらまつし』だった。
「でも・・・なんでお名前カードデータと運転免許証データも『ひむらまつこ』?」と、朱美はクビを傾げた。
「新しい運転免許証が発行される際にも、お名前カードデータが発行された際にも『不具合』は改訂されている。どこかの時点で、彼は改名した。『おんな』として生きる為に。そして、2つの名前を使い分けるようになった。ダークレインボウの構成員として都合が良かった。だが、パラ・リヴァイアサンは彼も『亡き者』にしようとした。三輪バイクは1人乗りも2人乗りも爆発物が仕掛けられていた。詰まり、生け贄は若者達だけでは無かった。」
夏目の説明に、「名前の違いだけなら、警視庁だけでも解決出来たのでは?」と、笠置が言った。
「その通り。笠置さん。CIAのデータをマッチング対象に加えてくれ。先日のデータでいい。」
笠置が、その通り実行すると、10分後に答は出た。
彼の、彼女の素性は、アメリカ国籍の『コム・平松』だった。彼女は性転換手術を受けた、『男性』CIA調査員だった。詰まり、『ひむらまつし』と入れ替わったのだ。
「じゃ、どこかで『枝』として潜入した『ひむら』をパラ・リヴァイアサンが見抜いていたんですね。今夜は、『豚肉の甘味噌焼き』。名前の通りの料理ですよ、皆さん。」
そう言って、榊が料理の出来たことを告げに来た。
朱美は、すぐに手伝いに厨房に入った。
「国際フォーラムの主催者側の案内役にしてはおかしい、と一佐が言うので、中津興信所やDDメンバーに手伝って監視しようとしたら、雲隠れしていた。取り調べの時の様子も何かおかしい、と新里が言っていた。明日、改めて自称『ひむら』に確認するよ。」
警視庁にメールを送った夏目は言った。
深夜の晩餐が始まった。
―完―


