========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 =========================
 笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
 高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
 榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
 夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
 夏目優香・・・有限会社夏目リサーチ社長。
 夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。EITO東京本部副司令官。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ※このエピソードは、「こちら中津興信所66」「特命機関夏目リサーチ27」「特命機関夏目リサーチ28」に関連しています。

 ※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
 夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。

 午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
 笠置達が出社すると、夏目警視正、夏目優香社長、夏目朱美副社長が揃っていた。
 「どうしたんです、お揃いで。」笠置が代表して質問した。
 「まずは1点。井関さんの奥さんと元新町隊員が証言した「痴漢騒ぎ」だが、被害者を装ったオンナは、CIAが追い掛けている二重スパイであることが分かった。そして、偽政務官に化けていた男が、中津興信所に依頼を断られた男、傷害事件を起こした男だが、その男を観察している男がEITO秘密基地の防犯カメラに映っていた。その観察男は傷害事件男とどこかで接触、傷害事件男が中津興信所で渡された興信所地図に載っている興信所を訪れていることが分かった。警視庁テロ対策室の捜査会議で、最初被疑者被害者がグルで、警視庁の対応を推し量ったのかと思っていたのが、違うことが分かった。井関さん達が証言したのが偶然だとすると、「痴漢えん罪」が成立するかも知れなかったからだ。何故痴漢をでっち上げる必要があったのか?それは、オンナと被害者男がグルではなく、『敵対関係』にあるのではないか?ということだ。」
 高山が発言した。「私の小説のネタに出来そうだな。夏目さん。被害者男は追手側、CIAのエージェントですか?」
 「そういうことです。で、CIAに副総監・陸自・米軍経由で打診した所、今日になって、判明しました。被害者男は、ジョゼフ・マッカランというCIAエージェントです。見た目は日本人ですけどね。日系アメリカ人です。先日、調べて貰った案件。逃走中の槐竜一が投げ捨てたCDですが、白バイ隊が発見しました。中身は映画の映像・・・に見せかけた暗号CDでした。浮かんできた人物がジョゼフ・マッカランです。」
 「じゃあ、次々と事件解決じゃないですか。」と、榊が仕込みも忘れて割り込んで発言した。
 「いや、ここからが本題です。ジョディーを割り出したネットカフェ近くの『市場調査』が架空であることがばれました。調査依頼元である、大林製薬の会社が外資系に乗っ取られたんです。」
 「詰まり、カチャカチャデータをカウンターで取っていたことがカムフラージュだとばれた可能性があるんです。」と、優香が言った。
 「分室は解散、我々は、解雇、かな?じゃ、今夜は『最後の晩餐』か。」と、笠置が寂しそうに言った。
 「まだ、ばれたと決まった訳じゃないですよ。今、手を打っているところですから。」と、朱美は弁護した。
 榊は、黙って厨房に行った。
 30分後。
 すき焼きパーティーが始まった。「最後の晩餐」である。

 翌日。午前3時。仮眠室。
 笠置のスマホに転送メールが届いた。
 メールのタイトルは、『ホワイトナイト現る』だった。
 文面には、『芦屋グループがオーナー会社になった』とあった。
 笠置が読むのは、明け方になるだろう。
 ―完―