========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
久保田管理官・・・警視庁管理官。
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。実質経営は妻の優香に任せている。
===============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
※中国では青椒肉絲は豚肉を使用する料理であり、牛肉を使用した場合は「青椒牛肉絲」と呼ぶ日本では牛肉を使用していても「青椒肉絲」と呼ばれることもある
青椒(チンジャオ)」とは辛みを抜いて品種改良した唐辛子(現代ではピーマン、ししとうなど)の緑色の果実を指す
※ひき肉でつくった肉ダネを野菜に詰めたものが肉詰め。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置と高山が出社すると、榊はもう「仕込み」を始めていた。
笠置が自分のPCを起動し、警視庁からのメールを読んだ。
高山も自分のPCを起動し、データを共有した。
「成程。後ろ姿ねえ。顔は後ろにないからねえ。」と、高山が言うと、「このオンナ、防犯カメラを意識してるねえ。総理の一声で国交省の通達で電車内の防犯カメラは増えたけど、完全に狙ってるからなあ。もっと、小さいのもあるのに。」と、笠置は言った。
「日本人には抑止力がある、と思ってるんだろうね、国民のことをいつも置き去りの偉いさんは。体型から中国人だとすぐ分かる。今までは、日本人の慰謝料目的の痴漢えん罪事件ばかりだったが、こんな悪い凡例作ったら、外国人は、特に那珂国人は、こぞって真似をするだろうな。このシステムの顔認証でも、骨格までは特定出来ても、顔の一部すら映っていない状態ではねえ。しかし、何で痴漢騒ぎ起こしたんだ?」と笠置がぼやくと、後ろから、いつの間にか現れた夏目が言った。
「だから、ガチャガチャデータで割り出すしかない。コロニー以降は、実はあまり市場調査の仕事はない。それで、以前の例もあるので、ネットカフェ付近のデータを『架空』の市場調査の『ついで』に集めているんですよ。」
「聞こうと思って聞いて無かったんですが、ガチャガチャデータの為のカメラは、どうやって設置するんですか?」「勿論、バイト君にはやらせない。拠点拠点で監督官が見回り、激励をすることになっている。寒い日は、使い捨てカイロを配ったり、終る時間に『おでん代』を渡したりすることもある。監督官は、ウチの正社員。バイト君より先に行って設置、帰らせた後で回収。」
「成程。」と、高山は納得した。
そうこう言っている内に、マッチング結果が出た。
「錦糸町のネットカフェか。前歴者データなし。運転免許証データなし。お名前カードデータなし。じゃ、これを追加して。CIAからのプレゼントだ。」と、夏目が差し出したのはMOだった。
「MO?読めるんですか?」「読めますよ。古い周辺機器メディアほど安心な時代だ。」
笠置がセットすると、結果はすぐ出た。
「ジュディー・オーランドか。二重スパイとして指名手配?なんか映画みたいだな。」
高山の言葉に、「映画みたいと言えば、痴漢容疑で通勤途上のサラリーマンが、このアオンナの餌食になりそうだったんだが、容疑を晴らす証人になったのが、井関民恵と元巡査の新町あかりだった。那珂国語でまくしてていたが、日本語話せる筈だし、サラリーマンのお尻を触っていない、と証言した。オンナは掌を返して謝罪、『勘違い』ということで、被害者被疑者共に、駅員は返した。駅長室やホームの防犯カメラにオンナは映ってなかった。何故かマシントラブルが起きたんだ。車内の防犯カメラも巧みに顔が映らないように工夫をしている。」と、夏目警視正が言った。
笠置が、「まだありそうですね、夏目さん。」と話を促した。
「井関さんの奥さんや、新町のことは想定外だったに違い無いが、念の為、サラリーマンが出した身分証としての運転免許証も名刺も偽造だった。その名前の本人は、その時、議員会館にいた。政務官だったよ。通常なら、ジュディー・オーランドを指名手配する所だが、わざと痴漢騒ぎを起こし、わざとガチャガチャデータを採取出来るネットカフェに出没した。試されたんだよ、日本の情報力を。二重スパイということは、アメリカ人に、CIA局員に成り済ました那珂国人ということになる。肌の色は白人だが、虚産主義思想だな。笠置さんは、いつも通り警視庁に連絡メールで送ってくれていいですよ。何かの参考データにはなった。ところで、お腹が鳴ってるんだが・・・。」
「はい。夏目さんご所望の、牛肉の青椒肉絲。それと、ピーマンの肉詰め。」
早速、食べ始めた夏目に、「夏目さん、例の『液体ビールス』も関係して来るんですかね?」と、笠置が言うと、もぐもぐしながら「どうかな。まだ分からないね。ただ、蛭田さんの分析によると、サリンほど強烈ではないし、ダークレインボウとの闘いに利用するのは難しいだろう、とのことだった。」と返した。
1時間後、夏目は帰って行った。
「色んな事が続いて、整理しきれないね。我々は直接関与しないが。」そう言って、メールを送付した笠置はPCを閉じた。
サラリーマンなら、これから徹夜麻雀でもするのかな?と思いながら、高山は仮眠室に移動した。
笠置はスマホを開き、榊は後片付けを始めた。
夜は、まだこれからだ。
―完―
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
久保田管理官・・・警視庁管理官。
夏目房之助・・・夏目リサーチのオーナー。実質経営は妻の優香に任せている。
===============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
※中国では青椒肉絲は豚肉を使用する料理であり、牛肉を使用した場合は「青椒牛肉絲」と呼ぶ日本では牛肉を使用していても「青椒肉絲」と呼ばれることもある
青椒(チンジャオ)」とは辛みを抜いて品種改良した唐辛子(現代ではピーマン、ししとうなど)の緑色の果実を指す
※ひき肉でつくった肉ダネを野菜に詰めたものが肉詰め。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置と高山が出社すると、榊はもう「仕込み」を始めていた。
笠置が自分のPCを起動し、警視庁からのメールを読んだ。
高山も自分のPCを起動し、データを共有した。
「成程。後ろ姿ねえ。顔は後ろにないからねえ。」と、高山が言うと、「このオンナ、防犯カメラを意識してるねえ。総理の一声で国交省の通達で電車内の防犯カメラは増えたけど、完全に狙ってるからなあ。もっと、小さいのもあるのに。」と、笠置は言った。
「日本人には抑止力がある、と思ってるんだろうね、国民のことをいつも置き去りの偉いさんは。体型から中国人だとすぐ分かる。今までは、日本人の慰謝料目的の痴漢えん罪事件ばかりだったが、こんな悪い凡例作ったら、外国人は、特に那珂国人は、こぞって真似をするだろうな。このシステムの顔認証でも、骨格までは特定出来ても、顔の一部すら映っていない状態ではねえ。しかし、何で痴漢騒ぎ起こしたんだ?」と笠置がぼやくと、後ろから、いつの間にか現れた夏目が言った。
「だから、ガチャガチャデータで割り出すしかない。コロニー以降は、実はあまり市場調査の仕事はない。それで、以前の例もあるので、ネットカフェ付近のデータを『架空』の市場調査の『ついで』に集めているんですよ。」
「聞こうと思って聞いて無かったんですが、ガチャガチャデータの為のカメラは、どうやって設置するんですか?」「勿論、バイト君にはやらせない。拠点拠点で監督官が見回り、激励をすることになっている。寒い日は、使い捨てカイロを配ったり、終る時間に『おでん代』を渡したりすることもある。監督官は、ウチの正社員。バイト君より先に行って設置、帰らせた後で回収。」
「成程。」と、高山は納得した。
そうこう言っている内に、マッチング結果が出た。
「錦糸町のネットカフェか。前歴者データなし。運転免許証データなし。お名前カードデータなし。じゃ、これを追加して。CIAからのプレゼントだ。」と、夏目が差し出したのはMOだった。
「MO?読めるんですか?」「読めますよ。古い周辺機器メディアほど安心な時代だ。」
笠置がセットすると、結果はすぐ出た。
「ジュディー・オーランドか。二重スパイとして指名手配?なんか映画みたいだな。」
高山の言葉に、「映画みたいと言えば、痴漢容疑で通勤途上のサラリーマンが、このアオンナの餌食になりそうだったんだが、容疑を晴らす証人になったのが、井関民恵と元巡査の新町あかりだった。那珂国語でまくしてていたが、日本語話せる筈だし、サラリーマンのお尻を触っていない、と証言した。オンナは掌を返して謝罪、『勘違い』ということで、被害者被疑者共に、駅員は返した。駅長室やホームの防犯カメラにオンナは映ってなかった。何故かマシントラブルが起きたんだ。車内の防犯カメラも巧みに顔が映らないように工夫をしている。」と、夏目警視正が言った。
笠置が、「まだありそうですね、夏目さん。」と話を促した。
「井関さんの奥さんや、新町のことは想定外だったに違い無いが、念の為、サラリーマンが出した身分証としての運転免許証も名刺も偽造だった。その名前の本人は、その時、議員会館にいた。政務官だったよ。通常なら、ジュディー・オーランドを指名手配する所だが、わざと痴漢騒ぎを起こし、わざとガチャガチャデータを採取出来るネットカフェに出没した。試されたんだよ、日本の情報力を。二重スパイということは、アメリカ人に、CIA局員に成り済ました那珂国人ということになる。肌の色は白人だが、虚産主義思想だな。笠置さんは、いつも通り警視庁に連絡メールで送ってくれていいですよ。何かの参考データにはなった。ところで、お腹が鳴ってるんだが・・・。」
「はい。夏目さんご所望の、牛肉の青椒肉絲。それと、ピーマンの肉詰め。」
早速、食べ始めた夏目に、「夏目さん、例の『液体ビールス』も関係して来るんですかね?」と、笠置が言うと、もぐもぐしながら「どうかな。まだ分からないね。ただ、蛭田さんの分析によると、サリンほど強烈ではないし、ダークレインボウとの闘いに利用するのは難しいだろう、とのことだった。」と返した。
1時間後、夏目は帰って行った。
「色んな事が続いて、整理しきれないね。我々は直接関与しないが。」そう言って、メールを送付した笠置はPCを閉じた。
サラリーマンなら、これから徹夜麻雀でもするのかな?と思いながら、高山は仮眠室に移動した。
笠置はスマホを開き、榊は後片付けを始めた。
夜は、まだこれからだ。
―完―


