========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
夏目警視正・・・夏目リサーチのオーナー。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
夏目警視正が、SDカードとICレコーダーを持って来た。
夏目は、高崎にSDを渡し、ICレコーダーを再生した。
再生後、説明した。
「特殊詐欺の一種だ。詐欺グループの何人かは、遺産整理会社を装って、電話でアポ。数日間、本当に『遺産整理』を手伝い、粗大ゴミの廃棄まで行う。で、遺族に『この際断捨離してすっきりしましょう』と持ちかける。『実績』があるから信用してしまった遺族は『追加要員』が出来たことで、『先払い』の料金を払う。そして、人海戦術での『荷物整理』が始まり、いつの間にか、遺族の預金通帳、キャッシュカード、印鑑を奪う。時期を見て、『従業員の休暇』を申し出る。」
「休暇後、誰も帰って来ない。現金以外の遺族の財産はカラ、ですか。巧みですね。彼らは『現金引き出しの人海戦術』も行ったのかな?」と、高崎が言った。
「夏目さん、ひょっとして、ChotGPTで釣った闇バイトですか?」と、笠置が尋ねた。
「そうらしい。このボイスレコーダーは、被害者の友利元気さんの妹佐和子さんが、何度かの打ち合せの時同席して、こっそり録音したものだ。笠置さん、取り込んでから再生してみてくれ。佐和子さんは、OLだが、遠隔地に住んでいる兄が気がかりだった。葬儀の後、落ち込んでいたし。亡くなった両親はコロニー後遺症と診断されたが、怪しい診断だと思っていた。兄が欺されやすい性格だから、咄嗟に仕事用のボイスレコーダーに録音したらしい。佐和子さんは、秘書をやっている。実は、都内で似たケースの事案が発生している。リーダーのモンタージュを作ったら、『マエ』があった。」
「成程。それで、システムで声紋の証拠を確定、ですね。」と、厨房の榊が言った。
「毎年3月の第4土曜日は『焼肉開きの日』らしいです。ちょっと早いけど、今夜はズバリ焼き肉です。」と、また榊が言った。
夏目のお腹がぐーっと鳴った。
1時間後、マッチングシステムは、「一致」のチャイムを鳴らした。
しかし、誰も見向きもしなかった。
次から次へと焼き肉を焼き、食べていたからだった。
夜明けまでは、まだまだ時間がある。
―完―
============== 主な登場人物 =========================
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?
夏目警視正・・・夏目リサーチのオーナー。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
夏目警視正が、SDカードとICレコーダーを持って来た。
夏目は、高崎にSDを渡し、ICレコーダーを再生した。
再生後、説明した。
「特殊詐欺の一種だ。詐欺グループの何人かは、遺産整理会社を装って、電話でアポ。数日間、本当に『遺産整理』を手伝い、粗大ゴミの廃棄まで行う。で、遺族に『この際断捨離してすっきりしましょう』と持ちかける。『実績』があるから信用してしまった遺族は『追加要員』が出来たことで、『先払い』の料金を払う。そして、人海戦術での『荷物整理』が始まり、いつの間にか、遺族の預金通帳、キャッシュカード、印鑑を奪う。時期を見て、『従業員の休暇』を申し出る。」
「休暇後、誰も帰って来ない。現金以外の遺族の財産はカラ、ですか。巧みですね。彼らは『現金引き出しの人海戦術』も行ったのかな?」と、高崎が言った。
「夏目さん、ひょっとして、ChotGPTで釣った闇バイトですか?」と、笠置が尋ねた。
「そうらしい。このボイスレコーダーは、被害者の友利元気さんの妹佐和子さんが、何度かの打ち合せの時同席して、こっそり録音したものだ。笠置さん、取り込んでから再生してみてくれ。佐和子さんは、OLだが、遠隔地に住んでいる兄が気がかりだった。葬儀の後、落ち込んでいたし。亡くなった両親はコロニー後遺症と診断されたが、怪しい診断だと思っていた。兄が欺されやすい性格だから、咄嗟に仕事用のボイスレコーダーに録音したらしい。佐和子さんは、秘書をやっている。実は、都内で似たケースの事案が発生している。リーダーのモンタージュを作ったら、『マエ』があった。」
「成程。それで、システムで声紋の証拠を確定、ですね。」と、厨房の榊が言った。
「毎年3月の第4土曜日は『焼肉開きの日』らしいです。ちょっと早いけど、今夜はズバリ焼き肉です。」と、また榊が言った。
夏目のお腹がぐーっと鳴った。
1時間後、マッチングシステムは、「一致」のチャイムを鳴らした。
しかし、誰も見向きもしなかった。
次から次へと焼き肉を焼き、食べていたからだった。
夜明けまでは、まだまだ時間がある。
―完―


