下らない話


「朝比奈ー‼︎」
「またかよ…」
「朝天気良かったじゃんよ?」
「別に良くはなかっただろ?」
 しとしとと降る雨は、俺の左肩をゆっくりと濡らして行く。

「あ、ここでいいや」
 途中のコンビニで樹が傘から出て行った。
「は?」
「傘、ここで買って学校戻るわ」
「何?忘れもんなら俺も…」
「彼女、待たせてんだよ。傘買って戻るからって言って」
「……へぇー。いつから?」
「昨日。まあ、またゆっくり話すからさ」

 そう言って店中に入って行く樹を黒い傘で遮った。


「一生降っててくんねぇかな…」

 そしたら傘が俺を隠してくれる。

 情けない俺を見えなくしてくれる。

 別に、なんて事ない。
 失恋しただけだ。

 ただ、俺が失恋したってだけの下らない話だ。