下らない話

 空いてる椅子に腰掛けてシャンプーの続きをしながらふと樹に目を向けた。
 立った状態でシャンプーを洗い流す無防備な樹のタツルが目の前にいて俺のオレが完全体になった。
 慌てて脚に挟み込んでタオルで隠す。

「あ、おいシャワー切り替えんなよ‼︎もうちょっとで終わるから‼︎」
「隣の使えよ。今使ってねぇじゃん」
 カランから出した冷水をタオルの上から桶で何度もぶっ掛けた。
 勢いよく出る水をすぐ下にある排水溝が吸い込んでいく。

 何だよ、俺。全然ダメじゃん…。
 見ただけでこんなのキモいだろ…。

「俺、終わったから使うぜ?」
 そう言いながらシャワーを自分の身体に向け、レバーを切り替えた別クラスの友達は予想外の水浴びに悲鳴を上げる。

「んぬ゛ぁー⁈朝比奈‼︎‼︎てめぇ何水にしてくれちゃってんだよ‼︎」
「あ、悪ぃ悪ぃ…」

 調節ハンドルを捻って温度を戻してやった。
 目の前の縮み上がったモノがシバリングで揺れる。
「んはッ」
「笑ってんじゃねぇよ‼︎死ぬトコだったわ」

 間抜けな姿に気が紛れて正直有り難かった。
 サンキュー…水野。

 無駄に長いシャンプーを終え身体を洗い、湯船には入らずに先に出た。

 俺が服を着終わったタイミングで樹が出て来て横で身体を拭き始める。
「湯船入れば良かったのに」
「何か人多すぎて気分じゃなかったわ」
「明日はうちの高校(ほう)が後みたいだし、自由時間も長いからゆっくり入れそうだな」
「…あぁ、だな」
 ダラダラと頭を拭きながら極力樹を見ない様に話した。

 擦れ合ったあの感覚が、目に焼き付いたタツルが…頭から離れない。

 ごめんな…本当、自分が嫌になるよ。

 気を抜いたら樹を抱きしめてしまいそうだ…。