下らない話

「…サンキューな」
「…あぁ」
 何て言ったら良いのかも、どうしてやったら良いのかも分からない。

 付き合って半年経って、心の底から好きだと思えた相手。
 その人と種違いの兄妹だったと知った時の沙月の絶望感など俺なんかに分かるはずがない。

 沙月と別れてすぐに他の女と結婚を決めた兄貴。そんな兄貴を安心させる為に俺に彼氏のフリをさせた沙月。

 何でこんな良いやつがこんな辛い目に遭わなきゃいけねぇんだよ…。

「ごめんなー巻き込んで…。聞きたくなかったろ?知らなかったとは言え兄貴とヤッてたなんて。キモすぎだよな…」
「キモいなんて思ってねぇよ」
「何かさ、拓海になら話せると思ったんだ…」
「…何でも言えよ。これからも」
「拓海も言えよな。何でも聞いてやるからさ」
「…サンキュー」

 痛々しい顔で笑う沙月の肩に腕を回した。
 もちろん100%の友情で…。

 沙月は俯いて、そのまま俺に寄り添って歩いた。
「なぁ…拓海」
「ん?」
「今日だけ……」