下らない話

「おっす。拓海‼︎いい顔になったな」
「…沙月ってさ」
「あん?」
「いや…別に」
 沙月は初めから全部分かっていたんだろうな…。
「今日は空いてんの?」
「あぁ、バイトもねぇしガラ空きだぜ」
「ちょっと頼みあんだけど…」
「…んじゃ、とりあえず行くか?」
「「バッティングセンター」」

 やけに口数の少ない沙月に、結構重ための頼みなんだろうなと感じていた。
 いつもと同じ両打席対応の4番ブースで1プレー20球を交代で2プレーずつやった。
 俺たちはいつも100キロ設定にして対決している。
「あ、お前‼︎90にしてんだろ?」
 沙月の2プレー目がやけにバカスカ当たると思ってブース外から覗いてみたら案の定速度表示が90キロになっていた。

「バレたか」
「…どうせなら当てろよ。ホームラン」
「おぉ、任せろ」

 快音を響かせて球が飛んで行く。
 打球は的の僅か右に逸れた。
「マジか⁈超惜しい‼︎」

 ラスト一球、フルスイングした沙月が空振りしてそのまま膝をついた。
「あーあ。くっそ…」