下らない話

 翌日、朝の時点で様子がおかしいのには気付いていた。
 昼過ぎ廊下ですれ違った時に「大丈夫か?」と声をかけた俺に「何でわかるの?」と樹は笑った。
 どっからどう見ても体調が悪そうな顔してるくせに。

「今日は俺が連れて帰るから」
「え?」
 昇降口を出た所で声をかけ、樹の学バンを自分の肩に引っ掛けた。
「こいつ熱あんだろ?」
「え⁈そうなの?」
 樹の彼女が慌てた様子で樹の頬に触れた。
「ホントだ‼︎嘘でしょー…全然気付かなかった」
「何で早退しなかったんだよ?」
「えー…俺そんなに熱ある?」
「うん、結構あると思う。言ってよー…」
「動けるうちに行くぞ」
「あ、うん」
 いつものペースで歩き出す。
 彼女のくせして何で気付かねぇんだよ?意味わかんねぇ…。

 樹の頬に触れた光景を思い出し怒りが込み上げてくる。
「確かにちょっとダルいなーとは思ってたけど、気付いたの朝比奈だけだよ。すげぇな‼︎」
 そう言って笑っているけれど昨日の反動で一際暑い日だっていうのに、樹は汗一つかいていない。

 電車の冷房のせいで一気に体調が悪化し、駅に着いた頃には肩を貸して歩いている状態だった。
「ヤバ、寒い」
「マジかよ…」
 とりあえず道にある自販機でスポドリを二本買って樹の学バンに入れた。
「悪ぃな…」