下らない話

 ただ好きなだけ。
 ただ好きな人を好きだと思うだけ。
 それが許されない。

 だから言わなくていい。

 ずっと永遠に届かなくていい。


「朝比奈‼︎入れて‼︎」
 高校生にもなって相変わらず無邪気な笑顔。
「天気予報くらい見て来いよ」
「いーんだよ。俺にはお前がいるんだから」
(せめ)ぇんだよ」
「まあまあ、そこを何とか…」
 俺は(たつる)に傘を傾けながら仕方ねぇなという表情(かお)をしてみせる。
 俺の左肩はいつもびしょ濡れだ。

 高1の6月。()()()()()の日のお決まりのやり取りになりつつある。