「えっと、じゃあ…またその辺はおいおい……」
 さり気なく身体を離し、軽く右手を上げて去ろうとする俺を見て修ちゃんが吹き出した。
「それ握ったまま玄関から帰るつもり?」
「あぁぁ⁈」
 窓辺に駆け寄り、右手のスケルトンピンクの棒を自分の部屋にぶん投げた。

「じ、じゃあな…」
 笑いの収まらない修ちゃんが、部屋を出る俺に、ダンボールを渡してきた。
「これ、持って帰れよ」
「あぁ…うん」

 修ちゃんへの想いを断ち切るつもりで持ってきたダンボールを、まさかこんな幸せな気持ちで持ち帰る事になるなんて…