大きな手が私の髪に触れ、耳たぶをくしゃりとさせてから、頬を滑る。

「二回でいいの?」

 私は彼に向けて、思いっきり両腕を伸ばした。

「二回でもいいよ」

 いつも眠たそうな半開きの目が、そっと閉じる。
三回目のキスを済ませてから、私たちは予約したレストランへと向かって歩き出した。



【完】