問題のあった武器や道具を調整し終え、ジェシカに慰めて(?)もらった俺は、何やら遠くでベルナーたちが作戦会議を行っているのをよそに、ぼうっとオアシスを眺めていた。
 そうしていると、オアシスの水面からぽこぽこと水の泡が現れる。
 直後、ざぱん、と勢いよく白い何かが水面から飛び出してきた。

「ぷはぁっ!」
「モモ!?」

 白い何か――モモはブルブルと全身を震わせ水気をよく取る。
 口元には、何か板のようなものをくわえていた。

「池に潜って何してたんだ?」

 そもそもいつ池に潜っていたのか、という話ではあるのだが。

「この池、深そうだったから、何かないか探してたんだぜ!」
「で、見つけたのがこれ、と」

 モモがくわえていたのは、突起のようなものがある2枚の緑青色の板。
 板には藻がついているが、どことなく鼻と口を覆うフェイスマスクに見えなくもない。
 帝国にも王国にも砂漠があり、そこに住む人たちは砂嵐の中でも呼吸ができるように使う、と聞いたことがある。
 ただ…………

「どう考えても、息できないよねこれ」
「だぜ」

 藻をオアシスの水で洗いながら、板を見る。
 砂漠で使われているフェイスマスクは、呼吸がしやすいように布などの空気を通す素材でできているが主。
 しかしモモが持ってきたこれは薄い金属のような材質でできたもので、どう考えても口元につけた瞬間、窒息不可避。

「こういうときはやっぱり、調整スキル使ってみるに越したことはないよね」

 こういった、見たことのないものに関しては、実際に使ってみる前に調整スキルを使うに越したことはない。
 それに、触れた瞬間、モモの体に触れたときと同じ感覚を覚えたから。

 ――たぶんこれ、旧文明の遺物だよな……

 そして、その考えは当たりだった。
 材質が何かというのはわからないが、マスク全体に回路が張り巡らされていて、ちょうど両側の顎の関節のある部分に小さく回路で魔法陣が形成されている。
 どうやらこれは、水の中で息ができるようになる魔法具だ。
 しかも回路は一切摩耗もしていなければ壊れてもおらず、まるで新品のようだ。

「…………すごいのを拾ってきたね、モモ」
「ふふん! なんだぜ!」

 誇らしげに胸を張るモモをよそに、おれは顔が引き攣ってしまう。
 少なくとも俺が武器調整屋として働いてきた中で、水の中でも息ができるようになる魔法具、というのは見たことがない。

 ――冒険者たちからすれば、とんでもないお宝なんじゃ……

「待たせたな、カイン、モモ……って、何持ってんだ?」

 タイミングが良いのか悪いのか、ちょうどそこに、ベルナーがやってきた。
 先ほどまで副統括長らしく方々に指示を出していたが、今は普段のベルナーの姿に戻っている。
 彼は俺が手に持つマスクに視線を向けると、首を傾げた。

「モモが見つけてくれたマスクなんだけど、旧文明の遺物みたいで」
「おお! でかしたぜ、モモ!」
「でかしたんだぜ!!」

 ベルナーは腰を下ろし、モモとハイタッチする。

「たぶん、水の中で呼吸ができるようになるマスクなんだよね」

 しかし俺がそう言った瞬間、思い切りベルナーの顔が引き攣る。
 そして数秒おいたのち「え?」と聞き返してきた。状況がよくわかっていないのか、モモは首を傾げるのみだ。

「これさ……いろんな意味で世紀の大発見じゃない?」
「そうだな……。このダンジョンも、池やら海やら、たくさんあるからな……」

 ベルナーが遠い目をする。
 やっぱりそうだよね。まずは水の中で息ができるようになる、というとんでもない魔法具が見つかったのは驚きと嬉しさがあるが、これが見つかったということは、これからダンジョンの探索範囲が急激に増えるってことだもんね。

 ここに来るまでにベルナーから説明された際も、このダンジョンは大きさのわりに探索範囲が狭くて初心者向け、と言っていた。
 だがこれが見つかったということは、探索範囲が狭いわけではなく、こちらが探索範囲としていたのが狭かっただけで、もっと大きなダンジョンということになる。
 ベルナーの様子を見るに、新しく探索しないといけないところが山ほど増えたにちがいない。

「……とりあえず、それは帰ってから考えるか……」
「うん……頑張れ……」
「? 我輩、何かしちゃったんだぜ?」

「いや、モモはすごいものを見つけてくれた……自信、持てよ……」

 中腰からついに座り込み、額に手をやり頭を抱えるベルナーの手首あたりを、モモは慰めるようにぺろぺろ舐める。
 ベルナーは誇らしそうに、しかしすこぶる元気のない状態でモモを撫で続けたのであった。


 それから十分ほど。
 ベルナーの元気が戻ってくるのを待ちながら、俺は彼に今後どうするかの話を聞いていた。
 彼によると、もともとはボス部屋まで行って、そこで調整スキルを使ってもらうことで、マスターゴーレムのような真のボスがいないかどうか、探そうとしていたらしい。

「だが、こいつですべてが狂ったな」

 彼が視線を向けるのは、マスクだ。
 ここからボス部屋に行くまでの間、結構な数の池や湖があるらしい。そこの探索というタスクが増えた以上、もともとの計画が不足というのが露呈した。
 じゃあ、ここにいる冒険者たちで探せばいいじゃない、というのは難しい。何せ、マスクは2つしかないのだから。

「モモ、これってオアシスの下にあと何個あった?」
「いや、2つしかなかったんだぜ」
「たぶん、別の湖の底にあるんだろうなぁ」

 ふむ、と皆で考え込む。
 さすがにそうなると、人手が足りない。

「カインはこういうの作れるのか?」
「ううん、さすがに新しく回路を組み込んだりっていうのはできないかな。俺は直す専門だから」
「あー……となると、時間かけてもしらみ潰しかぁ? ……だが時間がなぁ……」
「――あれ、カイン?」

 とそのとき、背後から俺たちのものとは違う声が聞こえた。
 振り向くと、先ほどの冒険者たちとも違う人が立っていた。
 赤髪に、色素の薄い銀の瞳。
 飾らないチュニックのような服とシンプルなパンツ、そしてその手に槌(つち)を持つ彼の姿を見るのは、かなり久しぶりだった。

「アゼル!?」
「やっぱりカインだ。どうしてこんなところに?」

 見上げた先にある、ゴーグルの奥の切れ長の目は、以前出会ったときと変わっていなくて懐かしさを覚える。
 アゼル・ロングレーは、俺がまだ鍛冶屋見習いだったころから繋がっている数少ない友人だ。
 今は帝国で活躍している鍛冶屋で、帝国のお偉いさんから人気があり注文が殺到しているが、アゼルは買い手を選ぶので入手難易度が高いとかなんとか。
 ちなみに、伝書鳩を作ってくれたのが、アゼルだ。今も壊れていないし中の回路も美しく、彼の作るものは芸術品のようだ。

 そんな鍛冶屋の彼が、なぜここに……?
 懐かしさと感慨深さと疑問で頭が働かないでいると、訝しげにこちらを見て、ついでベルナーとモモの姿を捉えたアゼルは、より怪訝な表情を浮かべた。

「そもそもお前、王国にいたんじゃなかったのか? それにダンジョンにいるだなんて……この人たちに騙されてるんじゃないだろうな」
「だ、騙されてないよ! 王国にいないのは、ちょっと理由があって……」
「ふーん……」

 怪訝な目つきはそのまま、鋭い眼光がこちらを射貫く。
 まぁ、騙されていない、と言い切るのは憚れるわけだけども、こちらとしても納得して今ここにいるわけだから、まるきり嘘というわけではない。
 アゼルはこう、なんというか……キリッとして冷徹な出で立ちをしているが、親密になった瞬間かなり過保護になるのだ。
 俺が王国、彼が帝国にいて物理的に距離が離れていても、「ぼくのいないところで倒れられても困る」と言ってよく王国まで様子を見に来ていた。
 そんな彼を見て意味ありげな視線を送る輩も少なくなかったが、そんなとき彼は顔色ひとつ変えずに言い放っていた。

「価値のあるスキルを持ったやつを失わないために、様子を見るのは当たり前だろう?」

 たぶんだけど、俺のことは仲良しな人間というよりは、レアなスキルを持った人間、と見ているんだと思う。
 別に過保護に接しているのは、俺だけじゃないからね。

「ま、いいか。それで、どうしてダンジョンに? 体術とかできないんじゃなかったか?」

 うーん、と悩んでいる間に、すでに話が進んでしまった。
 俺はあたふたしながらも、ここに来る経緯を簡単に彼に伝え、ついでにベルナーとモモのことを紹介する。
 ちなみにベルナーはアゼルのことを知っていて、アゼルも「あぁ、あのスキルの!」と面識があったようだ。やっぱりこいつ、人間のことをスキルでしか見てないな。
 モモとはハイタッチをしていて、「しゃべる犬とは……よく調べてみたいものだな」と呟き、モモを震わせていた。

「なるほどな……。それにしても王国の王族たちは、とんでもない人材を手放したんだな。ぼくだったらカインみたいな人材、絶対に手放さないのに」
「まぁ、王子の暴走みたいなところはあるだろうけどね」
「あのオツムが弱い王子か? あれを躾けない親にも問題があるだろ」

 ふるふると頭を横に振り、アゼルはため息をつく。
 まったくもって意見を婉曲にせずストレートに伝えるところも、昔と変わっていなくて、はは、と笑ってしまう。

「そういえば、アゼルはどうしてここに? 俺がここにいるのもたしかに珍しいけど、アゼルも鍛冶屋なんだから、ダンジョンにはあまり来ないんじゃ?」
「ま、普通はな。だがぼくはあいにく、そこいらの鍛冶屋とは違うんだ」

 そう言って彼が見せてきたのは、灰色の石。
 とくに光沢はなく、ぱっと見は普通の石だ。ただ魔力が多いのか、手に持ってみると普通の小石とは異なることは伝わってきた。

「ダンジョンに生成する鉱物だ。普通の鉱物とは違って魔力が込められているから、魔法具を作るときにあると便利なんだ」
「……それって、冒険者たちに依頼したほうが、楽じゃねえか? 金はかかるが、あんたの懐事情にゃそこまで大きく関わらねえだろ」

 横から鉱物を覗き見ながら、ベルナーが口を挟む。
 アゼルは肩をすくめ、やれやれ、と言わんばかりにかぶり振った。

「たしかに冒険者たちに鉱物採取を依頼することは可能だが、鍛冶やたるもの自分で石を見て選ばずして、良いものが作れるか、と思うんでね」
「……冒険者たちに護衛を頼まないのは?」
「大体ぼくが依頼すると、時間を超過して追加料金を持っていかれるんだ。いちいちそれで衝突するよりは、一人で行って一人で採取して帰るほうが、気が楽だ」

 ふう、とアゼルはため息をつき、ベルナーとモモは、そんな彼をまるで変人を見るような目つきで眺める。
 大して時間が開いていたわけではないものの、彼が昔と全然変わっていなくて安心する。

 昔からこういう人なのだ。
 自分の中に一本の軸があって、それをもとに自身が思う理想の鍛冶屋に邁進する。
 周囲の人たちの反応は、ベルナーとモモのようだが、それを気にしない姿勢は、尊敬に値すると思っている。
 そんな彼を眺めていたとき、ふと思いついた。

「ねえアゼル。これ、作れたりする?」
「ん?」

 俺は手に持っていたマスクを彼に見せる。
 アゼルのスキルは、素材があれば一瞬で武器や魔法具が作れるということ。
 もちろん彼が望む最上級のものができるというわけではないし、それなりに制限はあるけれど、それでも珍しくそして有能なスキルだ。
 俺の手からマスクを取り、しげしげとマスクを観察するアゼル。

「おそらくだが、可能だ」
「ほんと!?」
「構造自体はかなり簡単な部類の魔法具だからな。ただ、ここで採れる素材的に、あまり耐久性はないかもしれない」

 アゼルの眉間に深い皺が寄る。

「もって10分……もう少し短いか? 作れるとはいえ、それしかもたないとなると、実用性に欠けてしまうな。いや、あの素材を使えば」
「それって、俺の調整スキルだと、耐久性強くなる?」

 ハッと弾かれたように、アゼルが顔を上げる。
 そして、にやりと笑った。

「それなら、いける」

 クールな顔つきが、好奇心旺盛な、まるで子供のような表情を見せた。
 普段こそ冷たい雰囲気の彼だが、人一倍探求心がある、少年心を持ち合わせているのだ。

「ひとまず、手元の素材で作ってみる。カイン、お前はそれを調整してくれ」
「了解」

 そうして俺たちは、ポカンとするベルナーとモモを置いて、水中呼吸マスクを作り始めることにしたのだった。
 しかしその道は決して簡単なものではなかった。……主に、アゼルのこだわりで。

「よーし、これでバッチリ――」
「いや、これは失敗作だ。元に戻すぞ」
「なんでよ!」

 アゼルの手によって水中マスクが形成され、俺の手によって調整を施され、そしてアゼルがそれをひったくり素材に戻す。
 果たしてこの工程を、何度しただろうか。
 素材自体はアゼルが持っていたものと、そばに生成された石やら何やら、そしてモモに水中から取ってきてもらった旧文明の遺物の何かの欠片。
 旧文明の遺物のものを作るから、もしかしたら素材が足りないかも、と思ったけど、それはないようで助かった。

 たしかにアゼルのスキルとして、自分がスキルで作ったものは戻すことができる、というのがある。
 だが、ここまでやり直す、というのは話が変わってくるのだが。
 モモはすでに寝に入っているし、興味津々に見ていたベルナーも、いつの間にかほかの冒険者のところに行ってしまった。

「いいだろ別に、素材を消化してるわけじゃないんだし」
「それはそうだけど、時間はめちゃくちゃ消化してるんだよ!」
「大丈夫だよ、そこまで急ぎじゃないんだろ?」

 だから完璧なものを作らなくては、と言って、無情にもアゼルは水中マスクを何度目か、素材に戻してしまった。
「形が美しくない」「あと数秒長持ちさせられる」という理由で戻すのは、いかがなものなのか。
 形に関しては、美しいものも何もこれは芸術品じゃないし、耐久力に関しても、数十時間以上持つ中での数秒であって、ほぼほぼ誤差みたいなもの。

「いや、スキルで作る以上、半端なものは作らない」
「…………だからアゼルは、スキルでもの作らないんだったね……」

 昔のアゼルは、鍛冶についてのスキルで作っていた。
 だが何度も作り直すうちに納期を大幅に遅延するようになって、やめたんだったか。
 こだわりも、突き詰めるとあまり良くないんだね……

 そうして俺たちが人数分の水中マスクを作り終えたのは、数時間後。
 ダンジョンの外ではすでに陽が落ち、ほーほーという鳴き声が聞こえはじめる時間だった。
 このオアシスも、先ほど来たときに差し込んでいた陽光はとうの昔にいなくなり、星空が瞬いている。

「よし、ラストのやつができた! カイン、調整を頼む」
「はぇ?」

 完全に意識がどこかに飛んでいた。
 途中までは数十分に一個ペースで作れていたが、途中からなぜかアゼルのこだわりがもっと強くなっていって、作りあがる間隔が広がってたんだよな。
 周りを見ると、どうやら冒険者たちも夕飯を終えて寝る準備を始めている。
 近くにベルナーがご飯を用意してくれたみたいで、シチューのお皿が2つ俺たちのそばに置いてあった。……湯気は立ってないけど。

 俺はアゼルから水中マスクをもらうと、調整スキルをかけた。
 ちなみに俺がかけていたのは、水から呼吸に必要な成分を抽出しやすくするのと、マスクの耐久性の向上。あとは、顔の形にあわせられるように少しマスクを柔らかくしつつ、肌につけると硬くなるようなギミックにしていた。

「よし、これでおーけー。ありがと、アゼル」
「こちらこそ、ぼくの分まで作ってもらったから、おあいこだよ」

 実は冒険者たちのもの以外に、アゼルのものも作っていた。理由はもちろん、素材採取の幅が広がるから、だ。

「いったん、試してみようか」
「そうだな。ぼくも早く使いたくてうずうずしてたんだ」

 そう言って、二人でマスクを顔につけた。
 ふにゃふにゃだったマスクが、肌につけることで硬化していき、自分の顔にぴったりと張り付くようになる。
 そのまま水に顔をつけると……

「すごい、本当に息ができる!」
「だな!」

 目論見通り、しっかりと息ができるようになっていた。
 しかもなぜか少し離れたアゼルの声まで聞こえている。旧文明の遺物……すごいな……
 何度か試してから水から顔を外し、マスクを取る。すると再びふにゃふにゃの状態に戻った。

「これで水中でも問題なく行動できるね。ベルナー!」

 自分の中でやる気が満ちていくのを感じながら、俺は振り返り、彼を呼ぶ。
 しかし俺の視界に入ったのは、すでに就寝済の彼らのテントだった。

「もうみんな寝てるから、明日な」

 そう言ったのは、見張りの番の冒険者。ひらひらと手を振る彼もあくびをしていて、眠そうだ。
 俺はアゼルと顔を見合わせ、「俺たちも寝よっか」と言い、用意されたテントに向かったのだった。


 翌朝。
 ベルナーに起こされた俺とアゼルは、用意してもらった朝食を食べて身支度を整えてから、冒険者たちの作戦会議に交ざることになった。
 ……昨夜のマスク作りで睡眠不足気味なのは内緒だ。
 テントの中でも一際大きなものの中に集合し、折りたたみ机を中心に円になって座る。机の上にはこのダンジョンの地図が置かれていた。

「昨日、カインたちが水中で呼吸できるマスクを作ってくれたから、活動範囲が増えるようになった」

 音頭をとるのは、もちろん副統括長たるベルナーだ。普段と違って、冒険者たちの前だからかキリッとしている。
 そしてベルナーは皆にマスクを配りつつ、この先の作戦を説明しはじめた。

「ひとまず、2、3人でタッグを組んで、ダンジョンの水中エリアを探索する。奥に繋がりそうだったら、一度引き返すように」

 旧文明の遺物の調査も必要だけど、とりあえずダンジョン自体を調査するのが今日からのミッション。
 旧文明の遺物を探していて何か遺跡に変化があったときに、地図がないと逃げ遅れる可能性があるから、いったんみんなで地図を作成する。
 そうして完全制覇のためのボス部屋を見つけることで、ダンジョンを完全制覇の道が見え、帝都への脅威を減らすことに繋がる、というわけだ。
 ついでにどうやらダンジョン完全制覇に関わった人物は、金一封がもらえるらしい。そりゃ冒険者たちもやる気がみなぎっているわけだ。

「アゼルはどうするの?」
「ぼくは冒険者じゃないから、とりあえず地上と水中で素材を探すつもりだ」
「そっか……気をつけてね」
「ま、たまたま何かを見つけるなりなんなりして手伝ったら、ぼくにも金一封くれるんだろ?」

 そう呟くアゼルの目はキラリと光っている。完全にやる気なんだよなぁ……
 そうして、俺はベルナーとモモと、アゼルは他の冒険者たちと組んで、ダンジョンを調査することになったのだった。