私たちの関係に、名前はまだない。

「それをせず、嘘ついてまで婚約破棄。嘘でないかと指摘すれば謝りもせずにわざわざ傷付けるって下衆だし、話し合いしようとしたのに罵った。今日にでも予約して、心療内科で診断書貰おう。悲しませた上に、傷つけた。医者からの診断書という武器の強さ、思い知らせてやろう」

「ありがとう……七瀬くん。本当に」

 これまでにあったことを思えば、涙が込み上げて来て、俯きそうになった私に、七瀬くんはにやっと笑って顔を上げろと手でジェスチャーした。

「……あ。そうそう。俺の取り分の中には、この仕事が終わったら祝勝会として、二人で行く高級焼肉店の焼肉代も含みます……こちらはどうぞ、事前にご了承くださいませ」

 そんな七瀬くんの真っ直ぐな眼差しを見て、私は何年経っても、変わらないものはあるのだと……その時に、知ることが出来た。

fin