私たちの関係に、名前はまだない。

「あんな酷いことをした相手に、手加減する必要はないだろ。心からの謝罪と、少しの慰めになるような額の慰謝料を勝ち取ろう。あと、裁判まで行かなければ、慰謝料の金額は自由。相場は、単に家裁裁判官の判断。向こうが身内だったり、今付き合っている相手に知られたくなかったりすると、示談は言い値で、いくらでも取れる……十分に悲しんだんだ。取ってやろうぜ」

「……七瀬くんに、全部任せます」

 私はそれしか、言えなかった。

 法律の専門家に対して、門外漢の私が意見出来るのって、言う話だし……それに、大人でしかも弁護士の七瀬くんが本当に頼もしくて、何もかも彼に任せたくなった。

「本当のことを、言えば……きっと、浮田ならわかってくれたのにな」

「うん。そう思う」

 私だって彼を熱烈に好きではなかったけど、好ましくは思っていた。幸せになって欲しいと、笑顔でお別れできたと思う。