私たちの関係に、名前はまだない。

「あ。相談の主な内容は知っているので、詳細は後で聞きます。先に料金の説明。この事案で行くと慰謝料の最高額相場は、約200万。それならば、こちらの取り分は約3割。つまり、60万ほど頂くことになります」

「……相場の最高額を、取るの?」

 私は彼の言いように、驚いた。だって、証拠は少ないしある程度は妥協して折り合いをつけることが、こういうことでは普通だと思っていたし……。

「いや、俺は取れるなら、もっと取るよ。この事務所、浮田はどう思った?」

「え?……立派……だね」

 それは、確かに思った。立派なビルのワンフロア。弁護士だって、たくさん抱えていそう。

「叔父は人情派の商売下手で、この七瀬法律事務所を、ここまでにしたのは俺。疑われても、別に構わない。どうせ、これから仕事で証明することになる」

「……すごい」