私たちの関係に、名前はまだない。

 私はそんな彼をじっと見つめ、何も言えなかった。

 ……え? どうして? ……けど、七瀬くんさっき……。

「いや、流石に、気がついてたよ。あれは、未来の浮田だなって……確信したのは、慰めるためにお姉さんの背中をさすろうと服に触れた時だ。雨で天気も悪いと言うのに、服がカラッと乾いていて……だから、ああ。俺たち二人は、今同じ時に居ないんだと気がついた」

 私が何も言えなくなった理由を察したのか、七瀬くんは苦笑して言った。

「どうして、あの時に……何も言わなかったの?」

 もし、そうだったとしたなら、私はそれが不思議だった。

 だって、この七瀬くんは、あの時に未来の私だと気がついていたと言ったけど、過去の私にそんなことを、一切言わなかったし……。

「だってさ……俺はすぐに引っ越して転校すること、決まっていた。すぐに俺のものにはならないけど、婚約解消直後で傷ついているところを、俺が弁護士として助けられることが、もし確定しているなら、何年間か待つのも頑張れると思った」

「え?」