私たちの関係に、名前はまだない。

 また、制服姿の七瀬くんはバスの中へと消えて、私は彼に貰った名刺をじっくりと見た。

「七瀬法律事務所……すごい」

 私は弁護士なんて身内に居ないし、そういえば、七瀬くんも特進クラスで学年テスト順位は、いつも一桁で頭が良かった。

 緊張しつつ電話番号を打ち込むと、数コールしてから電話に出た。

『はい。七瀬法律事務所です』

 低い……若い男性の声だ。

「あっ……ご相談を、お願いしたいです」

『かしこまりました。とりあえずのご相談でしたら、当事務所は一時間無料で受け付けております。また、相談中に詳細にお聞きしますが、お客様のご相談される内容は、どのような事案でしょうか?」

「元婚約者の、不貞行為です……婚約中に浮気をされていたんですが虚偽の理由で、婚約解消に至りました。慰謝料を取れるなら、取りたいです。今日、発覚したので……明日は平日ですが、休みを取っているので、いつでも相談に行けます」

『……かしこまりました。それでは、午後二時からは、ご都合いかがでしょうか?』

「大丈夫です」

『お名前の方を。よろしくお願いします』

「浮田萌音です」