私たちの関係に、名前はまだない。

 会えなくなって……もう、何年も経っているのに。

「お姉さん。どうしたんですか? 良かったら、言ってください。話すだけでも、きっと楽になると思いますし……」

 七瀬くんって、本当に優しい……今更だけど、告白しておけば良かった。こんなにも将来有望な異性、私の人生の中で一番だと思う。

「元婚約者の彼が……女性と腕を組んで歩いているところを、偶然見かけてしまったの。私も仕事の客先で、いつもなら通らない沿線の駅で……」

 本来の生活をしていれば、決して見ることもなかった。先輩の仕事のフォローで違う駅に行った。これは、稀な偶然だ。

 本当に偶然、元婚約者の彼を見かけてしまった。

 けれど、それは……答え合わせをするための、必然だったようにも、今では思える。

「……え? もしかして、事故に遭った女性が、意識を取り戻したとか?」

 ……そうだったら、どんなにか良かったか。

「ううん。違うの。なんだか、様子がおかしいと胸騒ぎがして……彼に連絡を取ったの」

「そうですよね。聞かないと……始まらないですから」