殺人、はじめました。

 「待て!逃げるな!」
坂道が追ってくる。私は、とっさに路地に逃げ込んだ。
坂道が私を撃とうとした。あ~あ。撃たれちゃう…わけないでしょ!
雑居ビルの二階に向かってジャンプする。ガラスの破片が飛び散る。
ごめん、おっさん。
でも、今日はちょっと派手にやらないと、気が済まないの。
ビルの二階は居酒屋だ。客が店の奥に逃げてゆく。
「ごめんね~」
客のテーブルを蹴り飛ばし、坂道の顔に当てようとした。だが、ギリギリで避けられる。
コイツ、結構強い。
カウンター席のテーブルに立った。後ろでは、焼き鳥と炎が燃えている。
「坂道さん、殺してあげる。」
パーカーのフードを被った。パーカーの内側には、銃とナイフが入っている。
客に顔を見られたら面倒だ。ふっ、変装をしといて正解だった。
私は今、大学生を演じている。私の本当の年齢は28歳だ。
大して変わらないと思うだろう。でも、『スナイパー』の変装は違う。
自分で言うけど、私は美人だ。二重だし、顔も小さいし、背も高い。
だけど、今日の私は「ブス」だ。一重で、二重顎、服装も変。
「殺してみるなら殺してみろ」
私は、ニヤリと笑った。目の前にいるコイツはいつものターゲットとは違う。
坂道が私を撃つ。でも、私はその銃弾をかわした。そして、自分の銃を取り出した。
客全員が息をのむ。
「私に勝てると思ったら間違い。大間違い。」
カウンター席のイスに座った。
「暇すぎて焼き鳥食べたくなっちゃった。焼き鳥一本頂戴」
店長らしき男性に声をかける。最初は固まっていた店長だが、すぐ準備を始める。
焼き鳥を渡さなかったら、殺されるとでも思ったのだろうか。
まぁ、殺すけど。
私は、出来上がった焼き鳥を頬張りながら、坂道を撃ち続けた。
坂道はだいたい避けるけど、一発だけ足に当たった。
「君、何者だ!」
「私?何者だと思う?」
鈴木の真似をしてみた。