あれから一週間後、鈴木が仕事に復帰した。
「いやぁ~、いろいろあったっすね」
いろいろありすぎて疲れたわ、ホント。あんたのせいで。
「ま、とりあえず、あんたが復帰できて嬉しいわよ。」
ここは善人にならなくては。
「ーじゃあ、早速、ミッション行っちゃう?」
「「は」」
ちょっ、おっさん?嘘でしょ。休みとか、ないの?
っていうか、この前の休み、鈴木とおっさんのせいで、全部消えちまったんだけど。
どゆこと?
「だって…。もう、一週間経ったでしょ?休みなら、今度あげるからさぁ」
不満そうに口をとがらせるおっさん。
「で?誰を狙えばいいのよ」
「今夜のターゲットは、坂道同助だ。『イケナイ警察官』で有名な、あの人。」
「ー『イケナイ警察官』って何?」
「え、知らないのか!伝説のバラエティー番組だぞ!」
なんか、聞いたことあるかも。※後日調べたことをここに記す
「イケナイ警察官」…(1979~1986)
         伝説のバラエティー番組、開幕。
         mc:中田由良(アナウンサー)・. ちょんまげブラザーズ(お笑い芸人)
          人を逮捕するはずの警察が、 暴.れまくる!木曜の夜は超ノリノリで!
          
 「じゃあ、おっさん、行ってくるね!」
おっさんに交番の住所を教えてもらい、ミッションが始まった。
昔は大きな警察署で働くほど優秀だったらしいが、年を取って、交番に移ったらしい。
しかも、その交番はおんぼろ交番らしく、職員は多くて3人ほど。
もしかしたら、坂道だけかもしれない、ということだ。
今日は、いつものドライバーはいないらしく、新人の女性が担当だ。
鈴木は、別のミッションを頼まれたらしく、今日は一人だ。
気楽に殺せて、いいな。
交番に着いた。車は、近くの駐車場に停めて、通行人のふりをして交番の前を通った。
落とし物の相談をしにきた大学生を演じることにした。
服装も、なるべく「普通」にしたかった。
でも、失敗してしまった。
変装用のスニーカーを用意したのだが、癖で、いつものハイヒールを履いてしまったのだ。
ユニクロのパーカーにブランド物のハイヒールって、ヤバすぎ。
改めて、自分の天然さに絶望した。