「プール最高～」
私は、友達の雨歌（ウカ）と一緒に、プールに来ていた。
「友達」といっても、『スナイパー』の仕事仲間という仲だ。
雨歌は、２年ほど前に、一緒にミッションに参加し、仲良くなった。
彼女は、この業界で有名なスナイパーで、銃の使い方がとても上手だ。
「愛藍ちゃん、楽しんでくれた？」
「うん、ありがと。雨歌、ちょっと休まない？」
「あ、いいよ。疲れたもんね」
こんなにはしゃいだのはいつぶりだろう。
雨歌って、人を元気にする才能があるのかも。鈴木と逆だ。
鈴木と一緒に居ると、頭痛薬が欲しくなる。
最近、態度が冷たい気がするんだよなぁ～。ちょっとだけ悲しい。
「プルルルル」
突然、電話が鳴った。
『愛藍か！今、どこにいる！』
『はぁ？いきなり何、おっさん。今、雨歌と一緒にプール行ってるけど。』
『鈴木が…倒れた。』
『え、嘘。』
『本当だ！ふざけるわけないだろ！今すぐ来い』
『分かった！』
電話が切れた。私は帰る準備を始める。
「え、どうしたの」
「鈴木…あ、私の部下が、倒れたらしいの！」
「分かった！私も行っていい？」
「もちろん。ーごめんね、せっかくの休みの日なのに」
「全然大丈夫。」
雨歌は優しい。だが、ありがとうと言う暇もなく、私たちはプールを出た。
　市立○○病院に着いた。ロビーにおっさんがいた。
「行こう。203号室だ。」
いつものおっさんとは違った。
バタバタしながら、三人で階段を上った。「203　鈴木」と書かれた看板がある。
やはり、「名前」がないのか――。
「鈴木っ！」
部屋に駆け込む。
「あ、愛藍さん！見舞いに来てくれたんすか～。」
その「天然さ」に、なぜが涙が止まらなかった。